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[産経新聞] 【主張】高速道復旧談合 被災地を食い物にするな (2016年01月21日)

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震災復旧の大義名分に隠れた談合であるだけに悪質性が強い。被災地を食い物に業界の利益を分け合うような行為が許されようはずがない。

東日本大震災で被災した東北地方の高速道路復旧工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部と公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で道路舗装会社各社を一斉に捜索した。

談合の疑いがあるのは東日本高速道路(NEXCO東日本)東北支社が発注した東北各県の復旧舗装工事12件だ。平成23年8?9月に行われた入札で、12社が1件ずつ落札した。

落札総額は約176億円で、国から約160億円の補助金が交付された。補助金は税金である。自由競争によれば落札額はより引き下げられていたはずであり、この談合は、国と国民を相手にした詐欺行為に等しい。

談合は上位社が主導し、上位各社は担当者による「ハトの会」という親睦会を通じて結束を強めていたという。業界が決別したはずの旧態依然の構図は、そのまま生き延びていたことになる。

資材や人件費の高騰、「復興優先」を理由とする身勝手な釈明は言い訳にすぎない。かつて何度も耳にした「必要悪」の言い分も、聞き飽きた。

18年1月に、公取委の権限強化や、課徴金の大幅引き上げ、内部告発を奨励する課徴金の減免制度などを柱とする、改正独禁法が施行された。

これに呼応して当時の日本建設業団体連合会や日本土木工業協会は17年12月に「公正な企業活動の推進について」とする文書を会員会社に通知し、談合との決別を宣言した。土工協は18年4月、「透明性ある入札・契約制度に向けて」とする提言もまとめた。

提言は「建設業が自らへの不信感を払拭し魅力ある産業として再生するため、談合はもとより様々(さまざま)な非公式な協力など旧来のしきたりから訣別(けつべつ)することを決意した」などと、うたいあげていた。業界の決意とはこの程度のものだったのか、と疑わざるを得ない。

提言はその「基本的認識」のなかで、「自由主義経済体制の根幹は各人、各企業による自由な競争である。それを妨げることになれば社会的な損失を招くことは言うまでもない」とも記している。今一度、熟読すべきではないか。

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