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[読売新聞] 空自航空団新設 南西諸島防衛の着実な強化を (2016年02月03日)

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東シナ海における中国軍の活動が一段と活発化している。南西諸島の防衛体制を着実に強化することが重要である。

防衛省が、航空自衛隊那覇基地に第9航空団を新たに編成した。航空団新設は51年ぶりだ。福岡県の築城基地から1飛行隊を移し、主力戦闘機F15を20機から40機に倍増した。

南西諸島周辺の領空に接近する中国軍機に対する、自衛隊機の緊急発進(スクランブル)が急増していることに対応するのが目的だ。南西地域で、2014年度は468回に上った。08年度の約10倍で、大半が中国軍機である。

中国には、13年秋に尖閣諸島上空を含む東シナ海に一方的に設定した、自らの防空識別圏を既成事実化する狙いがあろう。

空自機の増強により、より機動的な運用が可能となり、パイロットの負担も減る。中国軍機の偵察活動に的確に対応して、中国の力による現状変更を許さず、領空を守る意思を示す意義は大きい。

自衛隊が民間機と共同利用する那覇空港は、滑走路1本の空港としては福岡空港に次いで航空機の離着陸回数が多い。20年予定の第2滑走路供用に向け、工事を遅滞なく進めることが欠かせない。

新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)では、自衛隊が離島防衛を主体的に実施し、米軍が補完するという役割分担を定めた。

これを踏まえ、与那国島に、3月中に150人規模の陸上自衛隊の沿岸監視部隊が配備される。

18年度には、奄美大島と宮古島に警備・ミサイル部隊を配備する予定だ。石垣島にも同様の部隊配備を検討している。地元の理解を得ながら進めることが大切だ。

尖閣諸島周辺では、中国軍艦船の接近が相次いでいる。海警局公船の領海侵入も後を絶たない。昨年12月には、「機関砲」の搭載が確認された。1万トン級の大型船も建造されているという。

一連の動きは、陸軍から海空軍に重点を移す中国軍の機構改革とも連動している。日本は今後、一層の警戒が必要である。海上保安庁だけでは対処できない事態も想定しておかねばなるまい。

中国軍艦船が領海に侵入した場合、海上自衛隊に海上警備行動を発令することがあり得る。日本政府がこうした方針を中国側に伝達したのは、理解できる。

気がかりなのは、自衛隊と中国軍の衝突を回避する「海上連絡メカニズム」の創設に関する日中協議が遅れていることだ。双方が知恵を絞り、早期に合意したい。

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