ジカ熱というウイルス感染症が中南米を中心に急速に広がっている。妊婦が感染すると、胎児の脳に障害が出る恐れがある。早期通報と流行地域への防疫支援など、国際協力を強めたい。
世界保健機関(WHO)はジカ熱拡大を受け「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。二〇一四年、西アフリカでのエボラ出血熱についての宣言以来。
ジカウイルスは一九四七年にアフリカのウガンダで確認されたが、爆発的な流行は初めて。中南米だけで最大四百万人の感染者が出る恐れがある。米国や中国でも感染が確認された。
感染しても八割は発症せず、症状も発熱や発疹などでとどまるが、ブラジルでは感染した妊婦から小頭症の子供が生まれる事例が相次いで報告されている。同国やエルサルバドル、コロンビアでは、流行地域の女性に妊娠をしばらく見送るよう勧告が出るほど。将来の人口構成に影響が出る恐れさえある。
治療薬やワクチンは残念ながらまだない。蚊がウイルスを媒介するので、刺されないよう長袖、長ズボンを着用し防虫スプレーを使うのが最も効果的だ。最近、性交渉や輸血による感染と推定される事例も、少数だが報告された。
厚生労働省はジカ熱を、保健所への届け出を義務づける「四類感染症」に指定した。
日本国内に生息する蚊も媒介するが、冬は活動しないため、感染が広がる状況にはないという。流行地域への渡航者は異常を感じたら、すぐに医療機関に相談するのが望ましい。拡大防止が第一だ。
病気のメカニズム解明と治療薬開発には各国の医療機関の連携が必要だ。国際原子力機関(IAEA)は、雄の蚊のサナギに放射線を照射して繁殖を抑える技術の普及に努めたい。
長期的には途上国の衛生状態の改善が課題になる。国連の一四年の試算によれば、飲用や生活用水に必要な「安全な水」を使えない人たちが全世界で約七億六千万人いる。
上下水道の改修などできれいな水を供給できれば、やはり蚊が媒介するマラリアやデング熱といった熱帯の感染症予防に大きな効果を表すだろう。国際社会は支援を継続したい。
リオデジャネイロでは八、九月に五輪、パラリンピックが開催される。ブラジル政府はジカ熱拡大阻止に総力を挙げ、旅行者にも詳細な情報提供をする必要がある。
世界保健機関(WHO)はジカ熱拡大を受け「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。二〇一四年、西アフリカでのエボラ出血熱についての宣言以来。
ジカウイルスは一九四七年にアフリカのウガンダで確認されたが、爆発的な流行は初めて。中南米だけで最大四百万人の感染者が出る恐れがある。米国や中国でも感染が確認された。
感染しても八割は発症せず、症状も発熱や発疹などでとどまるが、ブラジルでは感染した妊婦から小頭症の子供が生まれる事例が相次いで報告されている。同国やエルサルバドル、コロンビアでは、流行地域の女性に妊娠をしばらく見送るよう勧告が出るほど。将来の人口構成に影響が出る恐れさえある。
治療薬やワクチンは残念ながらまだない。蚊がウイルスを媒介するので、刺されないよう長袖、長ズボンを着用し防虫スプレーを使うのが最も効果的だ。最近、性交渉や輸血による感染と推定される事例も、少数だが報告された。
厚生労働省はジカ熱を、保健所への届け出を義務づける「四類感染症」に指定した。
日本国内に生息する蚊も媒介するが、冬は活動しないため、感染が広がる状況にはないという。流行地域への渡航者は異常を感じたら、すぐに医療機関に相談するのが望ましい。拡大防止が第一だ。
病気のメカニズム解明と治療薬開発には各国の医療機関の連携が必要だ。国際原子力機関(IAEA)は、雄の蚊のサナギに放射線を照射して繁殖を抑える技術の普及に努めたい。
長期的には途上国の衛生状態の改善が課題になる。国連の一四年の試算によれば、飲用や生活用水に必要な「安全な水」を使えない人たちが全世界で約七億六千万人いる。
上下水道の改修などできれいな水を供給できれば、やはり蚊が媒介するマラリアやデング熱といった熱帯の感染症予防に大きな効果を表すだろう。国際社会は支援を継続したい。
リオデジャネイロでは八、九月に五輪、パラリンピックが開催される。ブラジル政府はジカ熱拡大阻止に総力を挙げ、旅行者にも詳細な情報提供をする必要がある。