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[日経新聞] 英国はEUにとどまり建設的役割を (2016年02月21日)

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欧州連合(EU)はブリュッセルで開いた首脳会議で、英国の離脱を回避するために検討していたEU改革について合意した。これを受けてキャメロン英首相は、EU残留か離脱かを問う国民投票を6月23日に実施すると発表した。

英国は今後もEUの一員であり続けるのか、それとも離脱して独自の道を歩むのか。国民投票は英国と欧州にとって重大な分岐点となる。

仮に独仏と並ぶ欧州の中核国である英国がEUを去れば、経済から政治・外交まで生じる影響ははかりしれない。現地で活動する日本企業が事業展開の見直しを迫られる可能性もあるだろう。英国はEUにとどまり、内側から欧州をけん引する建設的な役割を果たす道を選んでほしい。

自国の主権や独自性を重視する英国は、通貨統合への参加を見送るなど欧州統合から一定の距離を置いてきた。さらに統合が進んでEUの規制が広がっていることへの不満や、東欧からの移民が大幅に増えたことへの反発などを背景に、英首相はEU改革をまとめたうえで国民投票に踏み切る方針を示していた。

EUが合意した改革は、域内からの移民への社会福祉を一時的に制限することを認めたり、通貨ユーロを採用していない英国などの権利を守ったりする内容だ。EUに対する不満を和らげ、残留論を後押しする狙いがある。

キャメロン首相はEUが改革を受け入れたのだから英国は離脱する必要がないと主張し、残留に向けて国民を説得していく構えだ。

英国の世論は割れており、投票の行方は予断を許さない。最近は離脱派が増えていることを示す調査結果も出ている。ギリシャの債務危機や、欧州への大量の難民流入に伴う混乱などが、EU残留派の向かい風になっている。

英国が離脱すれば、巨大な単一市場を築き世界経済で存在感を高めてきたEUへの影響は小さくない。欧州各地で目立ちつつある反EUの動きがドミノ現象のように広がり、統合そのものが危機に陥る恐れも否定できない。

欧州随一の金融センターである英シティーの将来にも不透明感が出てこないか。欧州本部を置く日本企業など、英国への進出企業は立地を含め事業戦略の再考が必要になるかもしれない。

影響は世界に及ぶ。英国民が下す判断はきわめて重い。

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