地球温暖化の影響で、北極圏では海氷や永久凍土が解けるなど自然環境の大きな変化が進行中だ。こうした変化は北極海航路の利用や海底資源の開発などを容易にするため、新たな事業機会の到来ともとらえられている。
北極圏の開発と環境保護を話し合う場としては、米国やロシアなど沿岸8カ国が1996年に設けた「北極評議会」がある。ただ、北極をめぐる様々な課題は沿岸国まかせであってはならない。
北極の環境変化は世界の気候に影響を及ぼす。北半球の中緯度に位置する日本の気象への影響も大きいとされる。北極の環境保護と利用をどう両立させていくか。人類の英知を集めて総合的に考え、取り組む必要がある。日本も積極的に関与すべきだろう。
日本は2013年からオブザーバーとして北極評議会に参加してきた。昨年10月には、北極観測に日本の科学技術を活用し国際協力に努めるとした「北極政策」を公表した。これを受け文部科学省は今年7月、中長期的な北極研究の戦略をつくる予定だ。
科学研究を通じて北極海における日本の存在感を高めようとする作戦で、賛成だ。
国立研究開発法人の海洋研究開発機構が毎年、調査船を北極海に派遣して海氷の縮小を調査するなど、すでに日本には北極研究の蓄積がある。優れた観測技術に対し海外からの期待は大きい。
沿岸国ではない、少し離れた立場から客観的で科学的な提言をしていく意義も、小さくない。沿岸国は自分たちの庭先の資源開発に前のめりになりがちだからだ。
北極圏の自然は脆弱で、軽率な開発は回復不能な悪影響を与えるおそれがある。利用一辺倒ではない視点が求められる。
自然科学だけでなく国際法などに詳しい社会科学者の役割も大切だ。北極の保護と利用のための国際的なルールづくりはこれからが本番だ。日本の立場や考えを反映させるよう、積極的に発言できる人材を育てる必要がある。
北極圏の開発と環境保護を話し合う場としては、米国やロシアなど沿岸8カ国が1996年に設けた「北極評議会」がある。ただ、北極をめぐる様々な課題は沿岸国まかせであってはならない。
北極の環境変化は世界の気候に影響を及ぼす。北半球の中緯度に位置する日本の気象への影響も大きいとされる。北極の環境保護と利用をどう両立させていくか。人類の英知を集めて総合的に考え、取り組む必要がある。日本も積極的に関与すべきだろう。
日本は2013年からオブザーバーとして北極評議会に参加してきた。昨年10月には、北極観測に日本の科学技術を活用し国際協力に努めるとした「北極政策」を公表した。これを受け文部科学省は今年7月、中長期的な北極研究の戦略をつくる予定だ。
科学研究を通じて北極海における日本の存在感を高めようとする作戦で、賛成だ。
国立研究開発法人の海洋研究開発機構が毎年、調査船を北極海に派遣して海氷の縮小を調査するなど、すでに日本には北極研究の蓄積がある。優れた観測技術に対し海外からの期待は大きい。
沿岸国ではない、少し離れた立場から客観的で科学的な提言をしていく意義も、小さくない。沿岸国は自分たちの庭先の資源開発に前のめりになりがちだからだ。
北極圏の自然は脆弱で、軽率な開発は回復不能な悪影響を与えるおそれがある。利用一辺倒ではない視点が求められる。
自然科学だけでなく国際法などに詳しい社会科学者の役割も大切だ。北極の保護と利用のための国際的なルールづくりはこれからが本番だ。日本の立場や考えを反映させるよう、積極的に発言できる人材を育てる必要がある。