日本の平和確保に極めて重要な安全保障関連法が成立した国会として、歴史に刻まれよう。
8か月に及んだ通常国会が閉幕した。
安倍首相は記者会見で、安保関連法について「戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする」と語った。「ロシア、中国、韓国との関係改善に力を入れる」とも強調した。
与党の自民、公明両党の結束は終始、揺るがなかった。自民党総裁選における安倍首相の無投票再選は、所属議員が安保関連法成立を最優先したためだろう。
民主党は「違憲法案」と断じ、野党共闘を目指した。だが、元気、次世代、改革の3党は、与党との連携を選択した。維新の党も、松野代表らと大阪系議員が分裂状態にあり、共闘は限定的だった。
残念なのは、世論が大きく割れたことだ。今後、賛成、反対両派の融和をいかに図るのか。重い課題を残したと言えよう。
地域農協の経営の自由度を高める改正農協法が成立したのは、安倍政権の重要な成果である。
農業の競争力強化に向けた一歩となる。農協と農家が受け身の姿勢から脱し、販路開拓などの創意工夫に取り組むことが大切だ。
農協が営農指導に本腰を入れる環境を作るため、農家以外の「准組合員」のサービス利用制限という、積み残しの課題についても、政府は検討を急ぐべきだろう。
過去に2度廃案となった改正労働者派遣法の成立も意義深い。政府は、派遣労働者の雇用安定と処遇改善に努めねばならない。
ただ、政府が新規に提出した75法案のうち、成立したのは66本にとどまった。過去最長の95日間の延長をしたのに、9割に満たない成立率は物足りない。
働いた時間ではなく、成果に応じて賃金を決める労働基準法改正案や、取り調べを可視化する刑事司法改革関連法案などの処理は、先送りされた。
憲法審査会の審議も事実上、中断した。民主党などが対決姿勢を強める中、与党としては、安保法案への影響を最小限に抑える必要があると判断したためだ。
安保法案優先の判断は理解できるが、他の重要法案の審議を同時並行で進める方策をもっと真剣に探るべきだったのではないか。
野党は、対案を示し、政府に建設的な論戦を挑む。政府・与党は、謙虚な姿勢で審議の充実に努める――。与野党双方が、それぞれの本来の役割を自覚し、誠実に取り組むことが求められよう。
8か月に及んだ通常国会が閉幕した。
安倍首相は記者会見で、安保関連法について「戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする」と語った。「ロシア、中国、韓国との関係改善に力を入れる」とも強調した。
与党の自民、公明両党の結束は終始、揺るがなかった。自民党総裁選における安倍首相の無投票再選は、所属議員が安保関連法成立を最優先したためだろう。
民主党は「違憲法案」と断じ、野党共闘を目指した。だが、元気、次世代、改革の3党は、与党との連携を選択した。維新の党も、松野代表らと大阪系議員が分裂状態にあり、共闘は限定的だった。
残念なのは、世論が大きく割れたことだ。今後、賛成、反対両派の融和をいかに図るのか。重い課題を残したと言えよう。
地域農協の経営の自由度を高める改正農協法が成立したのは、安倍政権の重要な成果である。
農業の競争力強化に向けた一歩となる。農協と農家が受け身の姿勢から脱し、販路開拓などの創意工夫に取り組むことが大切だ。
農協が営農指導に本腰を入れる環境を作るため、農家以外の「准組合員」のサービス利用制限という、積み残しの課題についても、政府は検討を急ぐべきだろう。
過去に2度廃案となった改正労働者派遣法の成立も意義深い。政府は、派遣労働者の雇用安定と処遇改善に努めねばならない。
ただ、政府が新規に提出した75法案のうち、成立したのは66本にとどまった。過去最長の95日間の延長をしたのに、9割に満たない成立率は物足りない。
働いた時間ではなく、成果に応じて賃金を決める労働基準法改正案や、取り調べを可視化する刑事司法改革関連法案などの処理は、先送りされた。
憲法審査会の審議も事実上、中断した。民主党などが対決姿勢を強める中、与党としては、安保法案への影響を最小限に抑える必要があると判断したためだ。
安保法案優先の判断は理解できるが、他の重要法案の審議を同時並行で進める方策をもっと真剣に探るべきだったのではないか。
野党は、対案を示し、政府に建設的な論戦を挑む。政府・与党は、謙虚な姿勢で審議の充実に努める――。与野党双方が、それぞれの本来の役割を自覚し、誠実に取り組むことが求められよう。