環太平洋経済連携協定(TPP)だけが日本にとって重要な通商協定ではない。政府は欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の交渉を加速すべきだ。
EU全体の経済規模は米国を上回る。ヒト、モノ、お金、サービスが域内を自由に行き交う単一市場としては世界最大だ。日本企業が足場を築く意義は大きい。
日本とEUによる15回目のEPA交渉会合が3月4日までの日程で開かれる。今回の交渉で懸案をすべて解決できるわけではないが、双方は年内の合意をめざして溝をできるだけ埋めてほしい。
日本がEUに乗用車を輸出する際には10%、カラーテレビの場合で14%の関税がかかる。この撤廃を日本はEU側に求めている。
EU側は自動車分野などで関税以外の対日参入障壁とみている規制の改善、EU産の農産品やワインの関税撤廃を求めている。
TPP関連法案の審議を控える今、日本側が農産品の関税削減・撤廃のカードを簡単に切れない事情は理解できる。しかし、政府調達市場の開放などで歩み寄れる余地はもっとあるはずだ。
EU側も上から目線で日本側に一方的に譲歩を求めるようでは困る。日本側の規制緩和の努力を認め、日本製乗用車やカラーテレビの関税撤廃にもっと前向きな姿勢を示してほしい。
TPPと比べると、対EU交渉での日本側の体制は貧弱だ。TPPのような担当閣僚や対策本部は存在せず、外務省を中心とする事務レベルの交渉が続いている。
交渉の最終盤では日本が何を譲り、何を得るかという高度な政治判断が必要になる。少なくとも担当閣僚を置き、政治主導で交渉を大きく前進させるよう首相官邸は指示すべきではないか。
世界全体を見回すと、日米欧を結ぶ三角形の中で、日米が軸のTPP交渉は合意に達した。米欧間では環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉が進んでいる。
日・EUのEPAは、先進国による高水準の新たな貿易・投資ルール網の一翼を担うという意味もある。次世代の自動運転車や無人飛行機などの国際標準づくりは日欧が主導できる分野だろう。
交渉が停滞する弊害は大きい。米国がEUとの交渉に本腰を入れ、EUが日本との交渉を後回しにすれば、日・EU交渉は漂流する恐れさえある。日本政府はそんな危機感を持って対応すべきだ。
EU全体の経済規模は米国を上回る。ヒト、モノ、お金、サービスが域内を自由に行き交う単一市場としては世界最大だ。日本企業が足場を築く意義は大きい。
日本とEUによる15回目のEPA交渉会合が3月4日までの日程で開かれる。今回の交渉で懸案をすべて解決できるわけではないが、双方は年内の合意をめざして溝をできるだけ埋めてほしい。
日本がEUに乗用車を輸出する際には10%、カラーテレビの場合で14%の関税がかかる。この撤廃を日本はEU側に求めている。
EU側は自動車分野などで関税以外の対日参入障壁とみている規制の改善、EU産の農産品やワインの関税撤廃を求めている。
TPP関連法案の審議を控える今、日本側が農産品の関税削減・撤廃のカードを簡単に切れない事情は理解できる。しかし、政府調達市場の開放などで歩み寄れる余地はもっとあるはずだ。
EU側も上から目線で日本側に一方的に譲歩を求めるようでは困る。日本側の規制緩和の努力を認め、日本製乗用車やカラーテレビの関税撤廃にもっと前向きな姿勢を示してほしい。
TPPと比べると、対EU交渉での日本側の体制は貧弱だ。TPPのような担当閣僚や対策本部は存在せず、外務省を中心とする事務レベルの交渉が続いている。
交渉の最終盤では日本が何を譲り、何を得るかという高度な政治判断が必要になる。少なくとも担当閣僚を置き、政治主導で交渉を大きく前進させるよう首相官邸は指示すべきではないか。
世界全体を見回すと、日米欧を結ぶ三角形の中で、日米が軸のTPP交渉は合意に達した。米欧間では環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉が進んでいる。
日・EUのEPAは、先進国による高水準の新たな貿易・投資ルール網の一翼を担うという意味もある。次世代の自動運転車や無人飛行機などの国際標準づくりは日欧が主導できる分野だろう。
交渉が停滞する弊害は大きい。米国がEUとの交渉に本腰を入れ、EUが日本との交渉を後回しにすれば、日・EU交渉は漂流する恐れさえある。日本政府はそんな危機感を持って対応すべきだ。