安倍晋三首相が国会で、憲法改正の実現に意欲を示す発言を重ねている。平成30年9月までの自民党総裁任期を念頭に、「私の在任中に成し遂げたい」と語った。
夏の参院選で、改正の国会発議に必要な3分の2以上の勢力確保を目指す考えも示した。首相は改正の実現を「歴史的使命」と位置づけてきた。その期限を区切ったのは評価できる。
ところが、首相周辺や与党はいかにも及び腰だ。それを正して、共に推進していく態勢を整えるのが首相の責任である。その覚悟が問われている。
菅義偉官房長官は「(首相は)今までと同じことを言っていた」と述べた。呼応して機運を高める気概は感じられない。公明党の漆原良夫中央幹事会会長は「わが党は改憲(勢力)に属する」としつつも、「(首相発言が)野党に結集軸を与え、利用される」と懸念を示した。
自民党は、13日の党大会で採択する運動方針案の憲法改正の項目から、原案にはあった「参院選での訴えを通じて」のくだりを削除した。党憲法改正推進本部も開店休業である。
これでは自民、公明両党に、憲法改正の必要性をしっかりと国民に訴えていく気があるのか疑わしい。参院選の争点にすることは得策ではないと思っているとしたら、情けない。
このままでは、首相の積極姿勢が、参院選に向け、支持基盤の保守層の歓心を買うためだけのポーズになってしまう。「羊頭狗肉(くにく)」は首相の本意ではあるまい。
首相は、自民、公明両党の幹部と何度も話し合って自らの考えを伝え、与党が国民に対して憲法改正を強く訴えていくよう指導力を発揮してもらいたい。
重要なのは、改正項目の絞り込みに着手することである。
首相は、衆参の憲法審査会で議論を進め、3分の2の合意形成が可能となったものから取り組むべきだとの考えだ。
しかし、今国会で衆院憲法審査会の審議は始まっていない。2月に審議入りした参院の審査会も絞り込みはしていない。
第9条、緊急事態、新しい人権、前文、二院制のあり方、改正条項などテーマは尽きない。首相と与党が、国のかたちをどう変えたいのかを語ることが国民的議論を促すために欠かせない。
夏の参院選で、改正の国会発議に必要な3分の2以上の勢力確保を目指す考えも示した。首相は改正の実現を「歴史的使命」と位置づけてきた。その期限を区切ったのは評価できる。
ところが、首相周辺や与党はいかにも及び腰だ。それを正して、共に推進していく態勢を整えるのが首相の責任である。その覚悟が問われている。
菅義偉官房長官は「(首相は)今までと同じことを言っていた」と述べた。呼応して機運を高める気概は感じられない。公明党の漆原良夫中央幹事会会長は「わが党は改憲(勢力)に属する」としつつも、「(首相発言が)野党に結集軸を与え、利用される」と懸念を示した。
自民党は、13日の党大会で採択する運動方針案の憲法改正の項目から、原案にはあった「参院選での訴えを通じて」のくだりを削除した。党憲法改正推進本部も開店休業である。
これでは自民、公明両党に、憲法改正の必要性をしっかりと国民に訴えていく気があるのか疑わしい。参院選の争点にすることは得策ではないと思っているとしたら、情けない。
このままでは、首相の積極姿勢が、参院選に向け、支持基盤の保守層の歓心を買うためだけのポーズになってしまう。「羊頭狗肉(くにく)」は首相の本意ではあるまい。
首相は、自民、公明両党の幹部と何度も話し合って自らの考えを伝え、与党が国民に対して憲法改正を強く訴えていくよう指導力を発揮してもらいたい。
重要なのは、改正項目の絞り込みに着手することである。
首相は、衆参の憲法審査会で議論を進め、3分の2の合意形成が可能となったものから取り組むべきだとの考えだ。
しかし、今国会で衆院憲法審査会の審議は始まっていない。2月に審議入りした参院の審査会も絞り込みはしていない。
第9条、緊急事態、新しい人権、前文、二院制のあり方、改正条項などテーマは尽きない。首相と与党が、国のかたちをどう変えたいのかを語ることが国民的議論を促すために欠かせない。