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[読売新聞] 福島原発凍土壁 安定稼働で漁業復興目指そう (2016年03月05日)

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福島県の漁業を再興させる契機としたい。

東京電力福島第一原子力発電所の建屋周辺に政府と東電が建設した凍土遮水壁について、原子力規制委員会が、稼働を認める方針を示した。

順調なら、5月ごろには凍った土の壁が地下に構築される。

汚染水は、建屋に流入した地下水に放射性物質が混じることで発生する。その量は、1日平均550トンに達している。

凍土壁は、地下水の流れを変化させ、廃炉作業の障害である汚染水を減らすのが目的だ。

東電は、凍結範囲を段階的に拡大する。凍土壁が全て稼働すれば、汚染水の増加量は10分の1以下にまで減少する見込みだ。東電は着実に作業を進めてもらいたい。

外部への汚染水流出は、岸壁の遮水壁が既に完成し、ほぼ抑えられている。港湾部では、放射性物質の濃度が大幅に低減した。

凍土壁の稼働と合わせ、海洋汚染のリスクは、解消されつつあると言えよう。

福島県の魚介類モニタリング検査では、食品衛生法上の基準値である1キロ・グラム当たり100ベクレルを超えるサンプルは急減している。昨年は、県の沖で採取した8577点のうち、4点だけだった。

漁業団体による試験操業の水揚げ量は、確実に増えている。2012年は121トンだったが、昨年は約1500トンに達した。県外へも出荷されている。

福島県は、漁獲対象魚種や、効率的な出荷などについて、今春までに提言をまとめる方針だ。

年間水揚げ量2万5000トン、100億円の規模を誇った沿岸漁業の復興へ、地域の期待は高い。漁の自粛期間が続いたことで、資源量は回復しているという。

韓国は、被災3県を含む8県の水産物の輸入規制を続けている。日本側の提訴を受け、世界貿易機関(WTO)での審理が本格化する。日本政府は、安全性をしっかりと主張すべきだ。

廃炉作業での今後の課題は、敷地内にためてある水の処分だ。タンクは約1000基に上る。他の原子力施設と同様、浄化後に海に流すのが現実的ではないか。

損傷した原子炉内部の状況把握も急がねばならない。

政府と東電は、溶けた燃料の回収方法を17年度に決める方針だが、原子炉周辺に近付けず、データが不足している。

ロボットを用いた調査では、トラブルが続発している。革新的な調査技術の開発が欠かせない。

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