東京電力福島第1原子力発電所の炉心溶融・水素爆発事故からまもなく5年を迎える。
4月26日は、チェルノブイリ原子力発電所の事故から30年に当たる。ともに社会に多大な被害と混乱をもたらし、終わりはまだ見えていない。
原子力発電は高効率である半面、大事故を起こせば長期に災厄の尾を引き続ける。過酷事故は繰り返してはならない災害だ。2大事故による「放射能の春」の教訓を世界で共有し、安全利用に反映したい。
国内には反原発の声が根強く残っている。だが、天気次第や風任せの太陽光や風力発電に期待するには無理がある。雨や無風の日に、その埋め合わせをする火力発電の強化が必要になるからだ。
化石燃料への依存が増せば、地球温暖化防止の「パリ協定」で日本が約束した温室効果ガスの「2030年26%減」の履行が望めなくなろう。策定中の「地球温暖化対策計画」に「50年の80%削減」を明記するには、なおさらだ。
欧州などと異なり、島国の日本には近隣諸国との間を結ぶエネルギー網がない。日々の輸入が必要な天然ガスや石油は、国際情勢に影響されやすいのに対し、原子力発電は、1回の燃料装荷で1年以上連続して電気を生み出せる。
福島県内をはじめ、いまだに多くの人が事故の影響下にあるが、国全体としては、エネルギー安全保障にも目を向ける冷静さを取り戻すべき頃合いであろう。
第1原発では、汚染水対策が進んだが、処理によって増え続けるトリチウム水とそのタンク群が、廃炉作業進展への足かせとなっている。福島の復興では、除染の汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設が不可欠だ。
農水産物への風評被害をはじめ、これらの問題の解決を難しくしている共通要因は、放射能に対する正確な知識の不足である。「1ミリシーベルトの呪縛」を解くためにも国は一層の情報発信と理解の定着に力を入れなければならない。
原発の新規制基準への適合性審査を行っている原子力規制委員会には、再稼働と運転延長の審査の効率化が今後の課題だ。
日本にとって原発の安全利用は避けて通れない道である。この現実について、国民の納得を得るには政治の明確な姿勢が必要だ。夏の参院選では、原発利用を重要争点に据えてもらいたい。
4月26日は、チェルノブイリ原子力発電所の事故から30年に当たる。ともに社会に多大な被害と混乱をもたらし、終わりはまだ見えていない。
原子力発電は高効率である半面、大事故を起こせば長期に災厄の尾を引き続ける。過酷事故は繰り返してはならない災害だ。2大事故による「放射能の春」の教訓を世界で共有し、安全利用に反映したい。
国内には反原発の声が根強く残っている。だが、天気次第や風任せの太陽光や風力発電に期待するには無理がある。雨や無風の日に、その埋め合わせをする火力発電の強化が必要になるからだ。
化石燃料への依存が増せば、地球温暖化防止の「パリ協定」で日本が約束した温室効果ガスの「2030年26%減」の履行が望めなくなろう。策定中の「地球温暖化対策計画」に「50年の80%削減」を明記するには、なおさらだ。
欧州などと異なり、島国の日本には近隣諸国との間を結ぶエネルギー網がない。日々の輸入が必要な天然ガスや石油は、国際情勢に影響されやすいのに対し、原子力発電は、1回の燃料装荷で1年以上連続して電気を生み出せる。
福島県内をはじめ、いまだに多くの人が事故の影響下にあるが、国全体としては、エネルギー安全保障にも目を向ける冷静さを取り戻すべき頃合いであろう。
第1原発では、汚染水対策が進んだが、処理によって増え続けるトリチウム水とそのタンク群が、廃炉作業進展への足かせとなっている。福島の復興では、除染の汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設が不可欠だ。
農水産物への風評被害をはじめ、これらの問題の解決を難しくしている共通要因は、放射能に対する正確な知識の不足である。「1ミリシーベルトの呪縛」を解くためにも国は一層の情報発信と理解の定着に力を入れなければならない。
原発の新規制基準への適合性審査を行っている原子力規制委員会には、再稼働と運転延長の審査の効率化が今後の課題だ。
日本にとって原発の安全利用は避けて通れない道である。この現実について、国民の納得を得るには政治の明確な姿勢が必要だ。夏の参院選では、原発利用を重要争点に据えてもらいたい。