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[読売新聞] 新国立聖火台 責任のなすり付けはやめよう (2016年03月14日)

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2020年東京五輪の準備に関わる無責任体質が、またも露呈した。

東京五輪のメイン会場となる新国立競技場で、聖火台をどこに設置するのか。遠藤五輪相が発足させた検討チームの初会合が開かれた。4月中に結論を出す。

旧計画の白紙撤回を経て、政府が昨年8月にまとめた新競技場の整備計画に、聖火台の記載はなかった。デザイン決定に至る過程でも、関係者は総工費の圧縮に目を奪われ、聖火台の問題は置き去りにされた感がある。

その結果、昨年末に採用された新デザインでは、競技場内に聖火台の場所が確保されていない。

遠藤氏は「具体的な議論をしてこなかった」と釈明している。政府の五輪準備の責任者として、きちんと対応してもらいたい。

新競技場の基本設計は5月中にもまとまる。聖火台の場所次第では、設計変更が必要となる可能性がある。大まかな設置場所は早期に決めておくべきだろう。仮に、競技場外への設置となれば、夏季五輪では異例のケースとなる。

屋根などに木材を多用することが、新デザインの特徴だ。これが、消防法の観点などから、競技場内の設置の障害となりかねない。検討チームは、安全性に配慮し、慎重に見極める必要がある。

聖火台への点火は、開会式のハイライトだ。国際オリンピック委員会(IOC)は原則として、「全観客から見える位置」に聖火台を設けるよう規定している。

聖火台設置に誰が責任を持つのか。それがあいまいだったことが、今回の騒動の主因だと言える。

新国立競技場建設の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の幹部は「スタジアムを造るのが我々の仕事だ」と強調する。基本的に五輪でしか使用しない聖火台は、工事の対象外だという認識があるのではないか。

大会組織委員会の森喜朗会長は「悪いのは馳浩(文部科学相)ですよ」と発言している。JSCを所管するのが文科相だ。東京五輪の主要な関係者が、責任を押し付け合っているようにも映る。

国の競技場である以上、やはり遠藤氏が費用面を含めて責任を持ち、騒動を収拾すべきだろう。重要情報が遠藤氏に集約されるよう組織の整備も欠かせない。

政府、大会組織委、東京都――。五輪準備に関わる機関の役割が判然としないと、かねて指摘されてきた。役割分担が不明確だと、責任の所在があいまいになる。準備体制の再点検を求めたい。

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