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[産経新聞] 【主張】温暖化対策計画 高目標へ原発と向き合え (2016年03月20日)

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「えっ、家庭でこんなに減らさなければならないの」と、多くの人が驚くに違いない。

日本の温室効果ガスの排出削減を促進する「地球温暖化対策計画」の目標は極めて高い。とりわけ家庭部門は40%もの削減だ。

この計画は5月の閣議決定を目指し、現在、国民から意見を募るパブリックコメントに付されている。

計画に列挙された諸対策は、昨年12月に採択された地球温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」で、日本が約束した「2030年度に13年度比26%減」という目標を達成するのに必要となるものである。

中国や米国と異なり、長年にわたって省エネ努力を続けてきた結果、削減余地の少ない日本にとっては、容易ならざる目標値だ。

産業部門は1990年以降、排出削減が奏功している。これに対し、家庭部門とオフィスなどの業務部門は増加が続いており、ともに40%もの排出削減が必要になるとされている。

京都議定書でのマイナス6%でさえ非常に苦労したことを考えると、並大抵の努力では達成困難な目標だ。

家庭部門での削減は、LED照明への切り替えや家庭用燃料電池(エネファーム)の導入、住宅の断熱性能の向上などで対応する計画だ。それを家計の負担に委ねるというのか。

これだけで仰天してはいられない。計画には「50年までに80%減」という長期目標もある。

中長期の目標を達成するには、エネルギーの低炭素化が必要となるが、太陽光や風力発電では、安定供給が難しいだけでなく、電気代が高くなり、暮らしの負担が倍加する。

こうした事態を回避しつつ、暮らしの質を維持し、経済成長を持続するためにも、原子力発電の賢明な利用が不可欠だ。安全が確認された原発の再稼働だけでなく、新増設も必要となろう。

原子力規制委員会による安全審査の遅々たるペースや運転延長審査のハードルの高さでは「20年度に05年度比3・8%減」という短期目標の実現さえ危うい。

エネルギーと環境問題は、表裏一体だ。大気中の二酸化炭素濃度の抑制には原子力発電が最も有効である。その現実に向き合うことが目標達成の前提だ。

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