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[日経新聞] 政府機関の移転にとどめるな (2016年03月24日)

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政府が中央省庁や独立行政法人などの地方移転に関する基本方針をまとめた。全面的な移転が決まったのは文化庁などわずかにとどまった。

地方創生を掲げる政府は、年間10万人を超す東京圏への転入超過数を2020年にゼロにして、一極集中を是正する目標を掲げている。そのために、東京にある企業の本社機能の地方への移転を税財政面から後押ししている。

東京など首都圏に集中しているのは政府機関も同じだ。政府自らが範を示そうと打ち出したのが今回の取り組みである。42道府県が69機関の誘致を提案し、ほぼ半分の34機関に対象を絞り込んで移転の是非を検討してきた。

今回の基本方針で「全面的な移転」と明記されたのは文化庁と国立健康・栄養研究所などにとどまる。「一部移転」は20機関程度あるが、国の研究機関が地方大学と連携拠点を設置するなどといった、地方に人材がどの程度移るのかよくわからない事例が多い。

政府機関のなかには研修所のように東京やその周辺に立地する必要性が低いものがまだまだある。結論が先送りされた消費者庁や総務省統計局を含めて、さらに移転機関を増やすべきだ。

国会対応や危機管理の面で地方に移しづらい業務は確かにある。一方で、地方への移転は政府内の仕事の進め方や職員の働き方を見直すきっかけになるだろう。

気になるのは移転が少ない代わりに、経済産業省などの出先機関の強化を打ち出した点だ。下手をすると行政の肥大化を招く。地方分権にも逆行しかねない。

現在、全国の自治体がそれぞれの総合戦略をまとめている。地方創生は計画段階から実行段階に移る。地方を活性化するためには、地域が自らの知恵と責任で息長く事業に取り組む必要がある。

政府機関の移転は必要だが、それだけでは効果は限られる。政府は活性化の障害になる規制を見直し、地方に権限や財源を移すことにも、もっと力を入れるべきだ。

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