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[読売新聞] 北海道新幹線 開業効果の持続へ知恵を絞れ (2016年03月27日)

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北海道新幹線(新青森―新函館北斗間)が開業した。東北新幹線(東京―新青森間)との乗り入れで、北海道と東京が新幹線で結ばれた。

函館周辺では、多くのホテルが満室状態だ。来月以降の予約も、例年の1・5倍前後に上る。

道南地域を中心に、観光客の増加を見込んだホテルの改修や商業施設の新設も相次ぐ。

新幹線の開業を起爆剤とした地域経済活性化への期待が高まっている。開業効果を一時的なものに終わらせないため、官民の知恵と工夫が問われよう。

見通しは甘くない。北海道新幹線の乗車率は25%程度と想定され、北陸新幹線の約半分だ。事業収支も開業後3年は、年50億円規模の赤字が続くとみられる。

札幌への延伸は2030年度末の予定で、それまでは本格的なビジネス需要を見込みにくい。観光客の誘致を柱に利用促進を図るのが現実的だろう。

沿線にある観光資源を改めて発掘し、効果的にPRしたい。JR北海道には、地元自治体などとの緊密な情報交換が求められる。

東京からの集客では、ライバルとなる航空機との競争で苦戦を強いられそうだ。

東京―新函館北斗の所要時間は最短4時間2分で、函館中心部へはさらに在来線で約20分かかる。航空機なら、空港からの乗り継ぎも含めて約3時間だ。価格面でも、航空運賃の割引制度を使えば、新幹線が優位とは言えない。

一方、函館から仙台は約3時間と、在来線で札幌に行くよりも短時間で結ばれる。首都圏だけでなく、東北の都市からの観光客誘致にも力を注いではどうか。

東北の自治体や企業との連携を強め、新たな旅客需要の掘り起こしに努めてもらいたい。

北海道を訪れる外国人客が急増している。現在は、航空機を利用する人が大半を占める。

こうした旅行者を鉄道に取り込むことも重要課題だ。北海道に来る外国人に東北の魅力をアピールし、新幹線を使った広域観光を提案するのも有効だろう。

JR北海道は、脱線事故や線路の検査データ改竄(かいざん)など、安全に関わる不祥事を繰り返してきた。

自然条件の厳しい北海道での列車の高速走行には、細心の注意が必要になる。安全運行を何よりも心がけねばならない。

新青森以北区間の約4割を占める青函トンネル内の事故は、深刻な被害につながる恐れがある。安全対策に万全を期すべきだ。

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