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[日経新聞] クロマグロの管理を厳格に (2016年03月27日)

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太平洋のクロマグロは大幅に減少し、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定している。今年秋に開くワシントン条約会議では、ニホンウナギなどのウナギ類とともに、商業取引の規制案が提出される可能性がある。資源管理の徹底を急ぐべきだ。

日本近海を含む海域でマグロ類などの漁業資源を管理する国際機関、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は、2012年時点で2万6千トンまで落ち込んだ親魚の量を10年以内に歴史的な平均である4万3千トンまで回復させる目標を掲げる。

加盟国は目標達成のために体重30キログラム未満の未成魚漁獲量を02?04年平均の半分以下に抑え、親魚の漁獲も平均を超えないことを決めた。政府は昨年から国内沿岸を6ブロックに分けて漁獲上限を設け、未成魚をとりすぎないように管理している。

しかし、現在の制度は上限を超えそうになった場合でも漁獲に待ったをかける強制力を持たない。国内屈指の産地である青森、北海道を含む「太平洋北部ブロック」の未成魚漁獲量はすでに上限の346トンを100トン以上も超えたが、政府が出したのは操業の自粛要請にすぎない。

政府は現行制度を今年7月から法令に基づく漁獲上限に変え、将来的には違反に対する罰則も検討している。資源減少の深刻さや、世界のクロマグロ消費量の約8割を日本が占める現状を考えれば当然の措置といえる。

クロマグロに依存する漁業者は対象魚を広げることなどで経営安定に努めてほしい。このまま資源が減少すれば経営への影響はもっと大きくなる。

韓国では3月、大量のクロマグロが水揚げされた。WCPFCで親魚の漁獲枠を持たない韓国に対し、日本政府は漁獲や対日輸出をすぐに中止するように求めた。日本の要求を受け、漁業者を説得して輸出を止めた韓国政府の迅速な対応は評価できる。日本が自らの責任を果たすことが欠かせない。

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