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[朝日新聞] 広域通信制 実態把握と改善を急げ (2016年04月03日)

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遅すぎたチェックと言わざるをえない。

不適切な教育内容や運営が指摘されている「広域通信制高校」について文部科学省が点検調査に乗り出すことを決めた。

広域通信制高校は、通信制のなかでも、三つ以上の都道府県から広く生徒を募集する。私立が83校、株式会社立が19校で、計約10万人が在籍している。

その多くは不登校の経験者や高校を中退した生徒らで、大切な学び直しの場になっている。

学習を支援する関連施設の「サポート校」を置き、生徒はそこに通う場合が多い。

今回のきっかけは株式会社立「ウィッツ青山学園高校」の問題だ。国の就学支援金を不正に受給した疑いに加え、移動中のバスで洋画を見たら「英語」の授業を受けたことにするなど、ずさんな指導が明るみにでた。

課題のある高校がウィッツだけではないことを、文科省はすでに5年前と、3年前のそれぞれの調査で知っていた。

添削指導といっても採点や正解の記載だけで、一人ひとりに解説しない学校が少なくない。一部の高校では、教員1人当たりの生徒数が100人を超える。そんな結果だった。

実態に対処せずにきた文科省の責任は重い。

きめ細かな支援が必要な子どもたちの指導に、手を抜くことは許されない。実態を把握し、改善策を急がねばならない。

文科省は3年間を「集中点検期間」とし、全校に書面調査をする。問題があるとみられる高校は監督する都道府県や市町村を中心に、文科省職員や有識者らも加わり立ち入り調査する。

サポート校は都道府県を超えて各地に広がっている。各自治体が把握することはそもそも難しい。国でなければ指導が難しいことを認識すべきだ。

広域通信制は、小泉内閣の時の構造改革特区で03年、株式会社立の学校が制度として認められたのを機に増えた。

民間の自由な発想や工夫を生かすことを目指したはずが、ウィッツの場合、なかなか理念通りにはいかなかったと言うほかない。

開校を認めた三重県伊賀市は、専任スタッフを置いていないなど指導監督する体制が十分ではなかった。

事後はおろか、事前チェックもあいまいなまま規制を緩めた政権や内閣府に、改めて反省を求めたい。

教育のような公共性の高い分野での規制緩和をどう考えるか。そのあり方について見つめ直すべきである。

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