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[日経新聞] 「0増6減」どまりは残念だ (2016年04月08日)

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衆院の選挙制度改革は自らの地盤である地方の定数減を嫌う自民党の主張に沿った形で決着することになった。膠着状態が続いて何もしないよりはましだが、小選挙区の増減は0増6減にとどまり、1票の格差は大きくは縮まらない。残念と言わざるを得ない。

最高裁は2012年と14年の衆院選の定数配分をいずれも違憲状態と判断した。国政に届く有権者の声にゆがみがあっては正しい政策判断はできない。1票の格差を放置することは許されない。

にもかかわらず与野党協議がまとまらず、有識者による第三者機関に是正案づくりを諮問した。この経緯を考えれば、新たな計算法アダムズ方式を10年の国勢調査に当てはめ小選挙区を7増13減、比例ブロックを1増5減するとの答申は最大限尊重されるべきだ。

自民党はアダムズ方式の採用までは同意したが、導入は20年の国勢調査以降に先送りした。当面は小選挙区の0増6減と比例ブロックの0増4減でしのぐという。これでは最高裁が否定した1人別枠方式が完全には解消されない。

大島理森衆院議長は自民案を「おおむね答申に沿った」ものと評価した。議長のお墨付きを得て、与党の賛成多数で今国会中に成立するのは確実である。

与党の多数で押し切るなら話は簡単である。選挙制度が特定の政党に有利であっては政治の信頼が損なわれる。参院に比例代表を導入したときも、衆院を小選挙区比例代表並立制に移行したときも主要政党の賛成でなされた。議長はもう少し野党の言い分に耳を傾ける必要があったのではないか。

自民党はこれで一件落着と思わないでほしい。先送りとはいえアダムズ方式による自動的な定数是正への道は開かれた。次は抜本的な選挙制度の改革をすべきだ。

衆参の役割分担に適した選挙制度はどんな仕組みか。地方の声を反映できるように1票の格差の例外をつくるのか。参院にも呼びかけて、幅広い国民的論議を巻き起こしたい。

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