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[毎日新聞] 社説:日歯連迂回寄付 倫理観欠如にあきれる (2015年10月02日)

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日本歯科医師連盟(日歯連)のトップ経験者が、政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。

日歯連は、歯科医が加盟する日本歯科医師会の政治団体だ。

元幹部らは2010年と13年の参院選挙に絡み、支援する組織代表の国会議員2人の側に、政治団体を迂回(うかい)する方法で法が定める上限を超える寄付をし、政治資金収支報告書に虚偽記載した疑いがもたれている。

日歯連については04年、自民党旧橋本派に対する1億円の裏献金事件が発覚した。それがきっかけで、規正法が改正され、政治団体間の寄付上限額が5000万円になった。その規制の網をさらにかいくぐるような今回の手口が事実ならば倫理観の欠如にあきれるほかない。

日歯連は内部向けに、1回の選挙で4億円の費用を使ったと報告しているという。参院選比例代表の法定選挙費用を大きく超える。東京地検特捜部は、選挙活動の実態についても捜査を尽くしてもらいたい。

日歯連は長年、参院に組織内候補を送り込んできた。歯科医の収入に直結する2年に1度の診療報酬の改定に影響力を及ぼすのが狙いとされる。容疑からは組織の利益のために手段を選ばぬような体質が見て取れ、病根は根深く深刻だ。

組織内候補である民主、自民両党の議員本人は「捜査を見守りたい」とコメントした。だが、2人の選挙に資金が使われたのであれば、人ごとでなく自ら調査して国民に説明するのが筋だ。両党の責任も重い。

この1年、「政治とカネ」をめぐる問題が繰り返された。資金管理団体の政治資金収支報告書への虚偽記載で小渕優子氏、補助金交付企業からの献金受領で西川公也氏と、2人の大臣が辞任に追い込まれた。だが、是正に向けた政治の動きは鈍い。

複数の政治団体を経由すれば実際の資金の流れが見えにくい。今回の迂回寄付や、関連団体間で架空の寄付行為を繰り返していた小渕氏の件に共通する問題だが、抜け道をふさぐ取り組みは手つかずのままだ。

先の国会では、民主党などから補助金交付企業からの寄付の制限などを内容とする政治資金規正法改正案が提出されたが、進展はなかった。

政党助成金の導入で、政治資金には公金も投入されている。そうした中、企業・団体献金の必要性、正当性が問われている。国会は国民の厳しい目を自覚すべきだろう。

今回の事件を通じ、参院選挙で組織内候補を抱える業界が多額の選挙費用を使っている実態が浮き彫りになっている。参院の選挙制度改革の議論に教訓を生かすべきだ。特定の業界がカネの力で政治を動かすことを国民は求めていない。

2015年10月02日 02時31分

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