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[日経新聞] TPP法案の先送りは許されるのか (2016年04月14日)

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環太平洋経済連携協定(TPP)承認案の国会審議が遅々として進まない。貿易自由化の国内調整はどこの国でも難題だが、旗振り役を務めるべき日本がもたもたしていては他の参加国にしめしがつかない。今国会での処理を諦め、秋以降に先送りするようなことがあってはならない。

承認案を今国会で確実に成立させるには今月28日までに衆院を通過させなくてはならない。空転が続いていた衆院の特別委員会の審議はようやく正常化されるが、混乱の火種になった西川公也特別委員長の著作出版問題や甘利明前経済財政・再生相の招致問題などが解決したわけではない。今後も円滑な審議は期待薄である。

米議会の承認も難航しており、11月の大統領選前の採決は難しそうだ。来年1月の新政権発足後はいろいろな政策判断が仕切り直しになるため、11月から1月までの期間を逃がすと承認へのハードルはさらに上がる。

米議会が大統領選後に再開する際、「日本も承認していない」では審議に弾みがつくまい。このままではTPPが丸ごとお蔵入りするおそれさえある。日本の一刻も早い承認は重要である。

にもかかわらず安倍政権内に先送り論があるのは遺憾である。24日に衆院補欠選挙がある北海道5区は農業従事者が多く、もともとTPP承認への反対が強い。与野党候補の接戦が伝えられ、与党内には補選や7月の参院選への影響を懸念する声が広がる。

党利党略と国益のいったいどちらが重いのか。そんな当たり前のことをわざわざ指摘しなくてはならないとは情けない。

TPP参加国の世界経済に占めるシェアは約4割である。その規模で貿易自由化を進めることは、日本のみならず世界の発展の礎となる。TPPには「中国にルールをつくらせない」(オバマ米大統領)という戦略上の意味もある。こうした原点を再確認したい。

交渉経過を4年間は明らかにしないとの取り決めがあることは承知しているが、与野党が折り合う余地は全くないのか。民主党政権はTPP反対一辺倒ではなかったのだから、後身の民進党も交渉資料の公開にこだわって突っ張るのはいかにも選挙目当てにみえる。

TPP承認案と関連法案の分離処理などの折衷案も取り沙汰されている。与野党がよく話し合えば知恵は出るはずだ。

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