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[日経新聞] 欧州難民問題に国際社会も手差し伸べよ (2015年09月12日)

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対岸の火事ではすまない。欧州では難民・移民の大量流入で混乱が広がっている。影響はカナダなどにも及び、受け入れ拡大を表明する国も増えてきた。これ以上の混乱拡大を防ぐには、欧州以外の国際社会の支援も欠かせない。日本も国際貢献につながる人道支援強化などの対策を検討すべきだ。

欧州では内戦が続くシリアなどからの難民や不法移民の流入が急増している。今年は、すでに36万人を超え、昨年1年の総数を上回った。主に内戦などを逃れた難民や高い生活水準を求める不法移民で、大部分が地中海やトルコ、ギリシャを経て、ドイツ、フランス、英国などを目指している。

密航船の転覆事故などが相次いでいるが、救助が間に合わないケースも多い。シリア難民の男児の遺体がトルコに漂着したことで衝撃が広がり、対策を求める声が各国で強まっている。

まず当事者の欧州連合(EU)が対応を急ぐべきだが、加盟国の思惑の違いから共通の対策を打ち出せていない。過去最高の80万人が流入する見通しのドイツは、受け入れを欧州全体で分担すべきだと主張している。ユンケル欧州委員長も16万人の受け入れを各国に割り当てるよう提案した。

これにはハンガリーなど東欧諸国が受け入れ態勢の不備などを理由に強い難色を示しており、実現には曲折も予想される。さらに亀裂が広がれば、欧州の求心力を弱めかねない。EUは14日に各国の利害を調整する閣僚会合を開く。ここで、実態に即した効果的な仕組みを導入してほしい。

欧州以外の国際社会も支援に動き出した。米国が欧州各国への支援を検討し始めており、シリア難民の男児の一家が渡航しようとしていたカナダでは、受け入れを増やすべきだとの議論が浮上している。ブラジルなど南米各国やオーストラリア、ニュージーランドも受け入れ拡大の方針を表明した。

難民の大量流出の原因となっている内戦の終結や地域の安定に向けた取り組みも重要だ。国際社会が結束して、中東や北アフリカの政情安定に向けた外交努力などを一段と強化する必要がある。

日本は難民認定が極端に少ないが、申請は急増している。世界的に難民が増える中で国際社会にどう貢献するか。難民を抱える国への資金・人材提供などの人道支援強化や受け入れの拡大なども含めて、検討を急ぐべきだろう。

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