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[読売新聞] 訪日客新目標 受け入れ体制の拡充が課題だ (2016年04月15日)

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観光立国に向けた意気込みは理解できるが、課題は山積している。

政府は、2020年の外国人訪日客の目標を4000万人に倍増する観光ビジョンを発表した。15年の訪日客が1973万人に上り、2000万人という従来目標を5年前倒しで、ほぼ達成したためだ。

訪日客の消費額について、15年の3・4兆円から20年には8兆円に増やす目標も掲げた。

安倍政権は、観光を成長戦略の柱の一つに位置付ける。政策的な努力を重ねれば、目標は達成可能だと説明している。民間企業とも緊密に連携し、日本の魅力を世界に発信することが重要である。

文化財を核とする観光拠点200か所を整備する。五つの国立公園を世界水準の「ナショナル・パーク」に格上げする。観光ビジョンは、こうした施策を打ち出した。着実に取り組んでもらいたい。

最大の問題は、受け入れ体制の整備が後手に回っていることだ。訪日客が集中する東京や関西のホテルは、観光シーズンとなれば、連日満室の状態が続く。

訪日客の地方への誘導が欠かせない。ビジョンは、クルーズ船が寄港できる港湾の整備、地方空港での格安航空会社(LCC)便の受け入れ促進などを掲げた。

関係自治体の地方創生事業と連動させ、創意工夫を講じる必要がある。特に、東北地方では、東日本大震災の復興事業との相乗効果を上げる視点が求められよう。

ホテル不足の解消策の一環として、政府は、マンションや民家などに旅行者を有料で泊める「民泊」のルール作りを進めている。

今月から、民泊施設を旅館業法の「簡易宿所」に位置づけて、許可制とした。面積要件を緩和し、フロントの設置を不要とする規制緩和も実施した。

しかし、こうした政府の動きとは逆に、東京都台東区は、近隣住民への配慮から、条例でフロント設置を義務づけた。

地域の実情を踏まえて、周辺とのトラブルや、治安・衛生上の問題が起きないよう慎重に対応せねばならない。利益優先で無許可営業を行う悪質な業者には罰則を強化することも有効だろう。

外国人に観光ガイドができる通訳の確保も大切だ。現在は、有料の観光案内には「通訳案内士」の国家資格が必要だが、観光庁は、無資格者による案内を解禁することを検討している。

訪日客のニーズに応じたサービスを柔軟に提供できる体制を構築することが肝要である。

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