地震対策がいかに難しいか。それを思い知らされる被害拡大である。
熊本県で16日未明、マグニチュード7・3の地震が発生した。1995年の阪神大震災に匹敵する。
気象庁は、震度7を記録した14日の地震は「前震」で、今回が「本震」との見方を示した。
その後も強い余震が頻発し、震源域は九州の南西部から北東部にかけて拡大している。これだけ広範囲で大規模な直下型地震が続くことは、極めてまれだ。
被災地域は、当初の熊本市周辺から大分、福岡両県などに広がった。家屋の下敷きになるなどして、多数の死者・負傷者が出ている。政府は非常災害対策本部会議を開き、安倍首相は「人命が第一だ。事は一刻を争う」と述べた。
政府は、現地に派遣している自衛隊員を大幅に増員し、2万5000人態勢にすることを決めた。警察官や消防隊員も追加派遣する。適切な対応だ。生き埋めなどになった被災者の生存率は、72時間で大きく下がるとされる。
政府と自治体は連携して人員配置を進め、救出・救援活動に全力を挙げてもらいたい。道路や鉄道が寸断し、孤立した地域の住民の救助も急がねばならない。
心配なのは、災害対応の拠点となる役所や医療機関が損壊し、機能を十分に果たせなくなっている地域があることだ。熊本県宇土市役所の本庁舎は、倒壊の危険があるため、市は災害対策本部を駐車場の仮設テントに移している。
築51年の本庁舎は、耐震診断で震度6強の地震で倒壊の恐れがあると指摘されていたが、対応が遅れていたという。
熊本市民病院も倒壊の恐れがあるため、入院患者を別の病院に搬送した。負傷した被災者を治療する医療機関が不足している。広域的な協力が欠かせない。
今回の地震は、活断層の横ずれによるものだ。九州中央部には多数の断層帯があり、一連の地震は、この一帯で発生している。
断層帯では大きな地震が発生しやすい。活断層が一度動くと、その余震に加え、別の断層でも地震が起きることがある。今回もこのケースに当てはまるだろう。
地震が九州にとどまらない可能性も指摘されている。九州の断層帯は、四国や紀伊半島を貫く「中央構造線断層帯」に隣接しているためだ。引き続き、広域での厳重な警戒が求められる。
熊本県・阿蘇山では、小規模な噴火が起きた。火山活動との連動にも注意が必要だ。
熊本県で16日未明、マグニチュード7・3の地震が発生した。1995年の阪神大震災に匹敵する。
気象庁は、震度7を記録した14日の地震は「前震」で、今回が「本震」との見方を示した。
その後も強い余震が頻発し、震源域は九州の南西部から北東部にかけて拡大している。これだけ広範囲で大規模な直下型地震が続くことは、極めてまれだ。
被災地域は、当初の熊本市周辺から大分、福岡両県などに広がった。家屋の下敷きになるなどして、多数の死者・負傷者が出ている。政府は非常災害対策本部会議を開き、安倍首相は「人命が第一だ。事は一刻を争う」と述べた。
政府は、現地に派遣している自衛隊員を大幅に増員し、2万5000人態勢にすることを決めた。警察官や消防隊員も追加派遣する。適切な対応だ。生き埋めなどになった被災者の生存率は、72時間で大きく下がるとされる。
政府と自治体は連携して人員配置を進め、救出・救援活動に全力を挙げてもらいたい。道路や鉄道が寸断し、孤立した地域の住民の救助も急がねばならない。
心配なのは、災害対応の拠点となる役所や医療機関が損壊し、機能を十分に果たせなくなっている地域があることだ。熊本県宇土市役所の本庁舎は、倒壊の危険があるため、市は災害対策本部を駐車場の仮設テントに移している。
築51年の本庁舎は、耐震診断で震度6強の地震で倒壊の恐れがあると指摘されていたが、対応が遅れていたという。
熊本市民病院も倒壊の恐れがあるため、入院患者を別の病院に搬送した。負傷した被災者を治療する医療機関が不足している。広域的な協力が欠かせない。
今回の地震は、活断層の横ずれによるものだ。九州中央部には多数の断層帯があり、一連の地震は、この一帯で発生している。
断層帯では大きな地震が発生しやすい。活断層が一度動くと、その余震に加え、別の断層でも地震が起きることがある。今回もこのケースに当てはまるだろう。
地震が九州にとどまらない可能性も指摘されている。九州の断層帯は、四国や紀伊半島を貫く「中央構造線断層帯」に隣接しているためだ。引き続き、広域での厳重な警戒が求められる。
熊本県・阿蘇山では、小規模な噴火が起きた。火山活動との連動にも注意が必要だ。