日銀は金融政策の現状維持を決めた。2%の物価上昇率を達成する目標を「2017年度中」に先送りする一方、マイナス金利政策の効果の広がりを見極める。追加緩和の見送りを受け、28日の日経平均株価は前日比で600円以上も下げた。大幅な円高も進んだ。
市場の緩和期待がやや過剰だった感はあるが、日銀が市場と十分な対話ができていたかどうかには疑問が残る。マイナス金利の悪影響が及ぶ金融機関にも、丁寧に政策への理解を求めるべきだ。
日銀が示した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、生鮮食品を除く消費者物価上昇率の17年度の予測を1.7%に下方修正した。2%物価目標の達成時期は1月時点の「17年度前半」を早くも遅らせた。1年間で4回目の延期となる。黒田東彦総裁は強力な緩和策でインフレ期待を高め、目標達成への自信を訴えてきたが、その手法に陰りが見えてきた。
そんな環境下でも日銀は追加緩和に動かなかった。マイナス金利政策で市場の金利は着実に下がり、経済復調や人手不足のもとで物価上昇の基調は崩れていないと説明する。だが直近では企業や消費者の間に物価上昇や経済の先行きに慎重な見方が広がっている。日銀の見通しはやや強気に映る。
「金融政策に限界があるとは考えていない」と黒田総裁は強調し、必要ならためらわず量、質、金利の面で追加緩和に踏み切る考えを強調した。中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)からの離脱の可能性など世界の経済や市場に懸念材料は多い。経済悪化のリスクに機動的に対処する構えは常に敷いておくべきだ。
マイナス金利に対しては、銀行や企業の経営者から行き過ぎた緩和への批判の声も出ている。
金利の押し下げを狙ったマイナス金利は金融機関が日銀にあずけた預金の一部に「手数料」を課し、資金を融資や投資に振り向ける仕組みだ。長期の金利も大幅に下がった結果、銀行の利ざやは縮まる。マイナス金利が長引けば年金や保険の運用難を招き、人々の暮らしにも悪影響を及ぼす。
銀行や企業、消費者からの信頼がなければ強力な政策も空振りに終わる。日銀は緩和策の狙いをもっと丁寧に訴え、理解を深める必要がある。政府も労働分野の規制緩和など潜在成長率を高める成長戦略を進め、金融緩和を経済浮揚に結びつけるべきだ。
市場の緩和期待がやや過剰だった感はあるが、日銀が市場と十分な対話ができていたかどうかには疑問が残る。マイナス金利の悪影響が及ぶ金融機関にも、丁寧に政策への理解を求めるべきだ。
日銀が示した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、生鮮食品を除く消費者物価上昇率の17年度の予測を1.7%に下方修正した。2%物価目標の達成時期は1月時点の「17年度前半」を早くも遅らせた。1年間で4回目の延期となる。黒田東彦総裁は強力な緩和策でインフレ期待を高め、目標達成への自信を訴えてきたが、その手法に陰りが見えてきた。
そんな環境下でも日銀は追加緩和に動かなかった。マイナス金利政策で市場の金利は着実に下がり、経済復調や人手不足のもとで物価上昇の基調は崩れていないと説明する。だが直近では企業や消費者の間に物価上昇や経済の先行きに慎重な見方が広がっている。日銀の見通しはやや強気に映る。
「金融政策に限界があるとは考えていない」と黒田総裁は強調し、必要ならためらわず量、質、金利の面で追加緩和に踏み切る考えを強調した。中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)からの離脱の可能性など世界の経済や市場に懸念材料は多い。経済悪化のリスクに機動的に対処する構えは常に敷いておくべきだ。
マイナス金利に対しては、銀行や企業の経営者から行き過ぎた緩和への批判の声も出ている。
金利の押し下げを狙ったマイナス金利は金融機関が日銀にあずけた預金の一部に「手数料」を課し、資金を融資や投資に振り向ける仕組みだ。長期の金利も大幅に下がった結果、銀行の利ざやは縮まる。マイナス金利が長引けば年金や保険の運用難を招き、人々の暮らしにも悪影響を及ぼす。
銀行や企業、消費者からの信頼がなければ強力な政策も空振りに終わる。日銀は緩和策の狙いをもっと丁寧に訴え、理解を深める必要がある。政府も労働分野の規制緩和など潜在成長率を高める成長戦略を進め、金融緩和を経済浮揚に結びつけるべきだ。