金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の権威付けが、ほぼ唯一の目的だったような印象を受ける。北朝鮮が36年ぶりに開いた朝鮮労働党大会は、正恩氏の党委員長就任を決めて閉幕した。
4日間に及んだ党大会は中央委員会の事業総括、規約改正など5つの議題を討議した。主題はやはり、正恩氏の「党最高位」推戴にあったようだ。祖父の故金日成主席が使っていた「党中央委員会委員長」に類似する党最高ポストに就くことで、偶像化と独裁の強化を進めるつもりなのだろう。
一方で大会は、国家戦略で新機軸を打ち出さなかった。正恩氏が演説で強調したのは、核兵器開発と経済建設を同時に進めるという「並進路線」の継続だ。
とくに核・ミサイル開発ではその成果を誇示し、北朝鮮を「責任ある核保有国」とした。今後も核戦力の小型・多種化を進め、「東方の核大国」をめざすという。
国際社会はこれまで再三、北朝鮮に核放棄を促し、経済制裁による圧力を強めてきた。核開発を続ければ、国際的な孤立はさらに深まる。ただでさえ経済が疲弊しているのに、経済建設の展望が開けるわけがない。正恩氏は自らの権威付けにばかり執心せず、厳しい現実を直視すべきではないか。
外交面では、米国に朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するよう求め、韓国には緊張緩和を呼びかけた。だが「核保有国」の立場を前提にしており、まともに受け止められる提案とはいえない。
北朝鮮は大会前、日本が射程に入る中距離弾道ミサイル「ノドン」を含めたミサイル発射を繰り返した。大会後の情勢を注視する必要があるが、独裁色を強める正恩氏が核開発の継続を唱えた以上、核実験やミサイル発射を早晩、繰り返すとみるべきだろう。
日本は米韓との連携を強め、万全な警戒態勢を続けてほしい。同時に、中国を含めた国際社会が一丸となって制裁圧力を強めつつ、北朝鮮に路線転換を促す粘り強い努力が欠かせない。
4日間に及んだ党大会は中央委員会の事業総括、規約改正など5つの議題を討議した。主題はやはり、正恩氏の「党最高位」推戴にあったようだ。祖父の故金日成主席が使っていた「党中央委員会委員長」に類似する党最高ポストに就くことで、偶像化と独裁の強化を進めるつもりなのだろう。
一方で大会は、国家戦略で新機軸を打ち出さなかった。正恩氏が演説で強調したのは、核兵器開発と経済建設を同時に進めるという「並進路線」の継続だ。
とくに核・ミサイル開発ではその成果を誇示し、北朝鮮を「責任ある核保有国」とした。今後も核戦力の小型・多種化を進め、「東方の核大国」をめざすという。
国際社会はこれまで再三、北朝鮮に核放棄を促し、経済制裁による圧力を強めてきた。核開発を続ければ、国際的な孤立はさらに深まる。ただでさえ経済が疲弊しているのに、経済建設の展望が開けるわけがない。正恩氏は自らの権威付けにばかり執心せず、厳しい現実を直視すべきではないか。
外交面では、米国に朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するよう求め、韓国には緊張緩和を呼びかけた。だが「核保有国」の立場を前提にしており、まともに受け止められる提案とはいえない。
北朝鮮は大会前、日本が射程に入る中距離弾道ミサイル「ノドン」を含めたミサイル発射を繰り返した。大会後の情勢を注視する必要があるが、独裁色を強める正恩氏が核開発の継続を唱えた以上、核実験やミサイル発射を早晩、繰り返すとみるべきだろう。
日本は米韓との連携を強め、万全な警戒態勢を続けてほしい。同時に、中国を含めた国際社会が一丸となって制裁圧力を強めつつ、北朝鮮に路線転換を促す粘り強い努力が欠かせない。