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[産経新聞] 【主張】パナマ文書公開 まず自ら「詳細」の説明を (2016年05月11日)

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「パナマ文書」報道を続ける国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、租税回避地(タックスヘイブン)に設立された21万社以上の法人と、これに関連する約36万の企業や個人の名前などを公表した。

文書には日本人や日本企業など約600の名もあった。タックスヘイブンは、脱税や資金洗浄など不正の温床とも指摘されている。関与を指摘された個人や企業は、その違法性の有無にかかわらず、自ら経緯を詳(つまび)らかにすべきである。

租税回避が最も許されないのは、各国の政治指導者だろう。税制を司(つかさど)る側が自らの税を逃れるような行為は、国家や納税者に対する背信行為に等しい。

友人の関与が指摘されたロシアのプーチン大統領は声高に陰謀説を唱えて反発し、リストに習近平国家主席の親族の名がある中国では徹底的に報道管制が敷かれている。アイスランドのグンロイグソン首相やスペインの閣僚は、関与の発覚から国民の反発を招き、すでに辞任した。

まっとうな民主主義国では、明確な説明を抜きに地位に居座ることはできないと知るべきだ。日本でも公表された個人などに親族や関係者の名がある政治家は進んで説明責任を果たす必要がある。

社会的責任を負う大企業や経営者も同様である。法的に問題がないとしても、株主や顧客に説明ができない商行為は許されない。

麻生太郎財務相はリストの公表を受けて「問題のある取引が認められれば、税務調査する」と述べた。税務調査の対象は違法行為だが、合法であっても説明責任は免れない。後ろ暗いところがないのであれば、堂々と趣旨と経緯を述べればいい。

国際社会は、タックスヘイブンなどを使った課税逃れ対策の強化で、おおむね一致している。各国で銀行口座の税務情報を交換するなどの枠組みにはすでに約100カ国・地域が参加を表明し、国際的監視網を狭めている。

パナマ文書については26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、20、21日に仙台市で開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも主要な議題となることが予想される。

議長国を務める日本としては、自国内に向けられた疑惑に対する説明を尽くした上で、重要会議に臨みたい。

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