法律家の「正義」とは買いかぶりだったのか。法曹への入り口で行われた不正にあきれる。
司法試験の問題作成者である考査委員の明治大法科大学院の教授が、教え子の女性に出題内容を漏らしていた。
国家公務員法の守秘義務違反容疑で東京地検が捜査している。法務省や大学側にも再発防止への徹底した検証を求めたい。
漏洩(ろうえい)は今年の司法試験で起きた。教授は自身が作成にあたった憲法分野の論述式試験の問題を女性に漏らし、解答の添削指導もしていた疑いが持たれている。
女性の答案が模範解答に近かったことなどから不正が発覚した。教授は法務省の調査に問題を漏らしたことを認め、「かわいがっていた教え子なので何とか合格させてやりたかった」などと動機を説明したという。考査委員の立場を忘れ、理由にもなっていない。
司法試験の問題作成や採点にあたる考査委員は、裁判官や検事、弁護士、大学教授などから選ばれ非常勤の国家公務員として任命されている。厳正さが求められる任務だからだ。倫理性を欠く人間には任せられない。
法務省は問題の教授を考査委員から解任し、女性についても5年間、司法試験受験を禁じる措置をとった。同省は、漏洩はこの女性1人に対するものとみているが、捜査を通し、漏洩経緯など早急な解明を行い、再発防止につなげてもらいたい。
過去に考査委員の慶応大法科大学院教授が学生への答案練習会で試験と類似の論点を教える問題が起きている。対策として考査委員の学者枠を減らすほか、受験予定の学生らへの直接指導を禁じた。その反省が生かされていない。
問題の教授は十数年にわたって考査委員を務めていた。憲法学者として法の順守を説く立場で、その資質自体が疑われる。
法務省は考査委員の選定を含め、再発防止策を早急にまとめるべきだ。
そもそも司法試験は、高い見識を持つ信頼に足る法律家を多く育てるため、法科大学院でじっくり学び合格できるよう改革されたはずではなかったか。今回の不正は改革の趣旨と対極にある。
明治大学は調査を行い厳正に処分するとしているが、学内に不正の温床をつくっていた責任も重く受け止めるべきだ。
司法試験の問題作成者である考査委員の明治大法科大学院の教授が、教え子の女性に出題内容を漏らしていた。
国家公務員法の守秘義務違反容疑で東京地検が捜査している。法務省や大学側にも再発防止への徹底した検証を求めたい。
漏洩(ろうえい)は今年の司法試験で起きた。教授は自身が作成にあたった憲法分野の論述式試験の問題を女性に漏らし、解答の添削指導もしていた疑いが持たれている。
女性の答案が模範解答に近かったことなどから不正が発覚した。教授は法務省の調査に問題を漏らしたことを認め、「かわいがっていた教え子なので何とか合格させてやりたかった」などと動機を説明したという。考査委員の立場を忘れ、理由にもなっていない。
司法試験の問題作成や採点にあたる考査委員は、裁判官や検事、弁護士、大学教授などから選ばれ非常勤の国家公務員として任命されている。厳正さが求められる任務だからだ。倫理性を欠く人間には任せられない。
法務省は問題の教授を考査委員から解任し、女性についても5年間、司法試験受験を禁じる措置をとった。同省は、漏洩はこの女性1人に対するものとみているが、捜査を通し、漏洩経緯など早急な解明を行い、再発防止につなげてもらいたい。
過去に考査委員の慶応大法科大学院教授が学生への答案練習会で試験と類似の論点を教える問題が起きている。対策として考査委員の学者枠を減らすほか、受験予定の学生らへの直接指導を禁じた。その反省が生かされていない。
問題の教授は十数年にわたって考査委員を務めていた。憲法学者として法の順守を説く立場で、その資質自体が疑われる。
法務省は考査委員の選定を含め、再発防止策を早急にまとめるべきだ。
そもそも司法試験は、高い見識を持つ信頼に足る法律家を多く育てるため、法科大学院でじっくり学び合格できるよう改革されたはずではなかったか。今回の不正は改革の趣旨と対極にある。
明治大学は調査を行い厳正に処分するとしているが、学内に不正の温床をつくっていた責任も重く受け止めるべきだ。