世界経済の成長を持続させるには、先進7か国(G7)が協調して牽引(けんいん)することが重要だ。
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開幕した。最大の焦点だった世界経済の討議では、新興国経済の減速などを背景に、大きなリスクに直面しているとの認識で一致した。
議長の安倍首相は、新興国の投資や国内総生産が低迷している具体的なデータを基に、2008年のリーマン・ショック前の状況に似ているとの見解を示した。
「政策対応を誤ると、通常の景気循環を超え、危機に陥るリスクがある」とも指摘した。
他の首脳からは「危機とまで言うのはどうか」という意見も出たが、各国の状況に応じて「機動的な財政戦略と構造政策を果断に進める」ことを確認した。
首相がリーマン・ショックにまで言及したのは、17年4月の消費税率引き上げを先送りするための布石なのではないか。
首相は、金融政策と財政出動、構造改革の三つの政策手段をG7版「3本の矢」と位置づけて政策の総動員を求め、了承された。
G7が危機発生に先手を打つ形で、臨機応変に政策対応をとる方針で合意したのは成果だ。
先進各国では、景気の長期停滞への懸念から、個人や企業が消費や投資を控える需要不足が共通の課題となっている。
規制緩和などで潜在成長力を上げ、民間の投資を促すことが肝心だ。ただ、民需が自律的に高まるには一定の時間がかかる。政府が機動的に財政出動し、需要の創出に努めることは意義がある。
各国首脳からは、成長の低迷や格差拡大が、政治的なポピュリズム(大衆迎合)の台頭を招く一因だとする指摘も相次いだ。
会議では、中間層が将来に期待を持てる社会にするには、「質の高いインフラ(社会基盤)」や教育、科学技術分野などへの投資が重要だとの認識で一致した。着実な政策の遂行が求められる。
自由貿易の推進については、日米加を含む12か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効や、日本と欧州連合(EU)による経済連携協定の交渉を着実に進めることを再確認した。
米国では秋に大統領選を控え、国内産業を守ることを優先する保護主義的な主張が勢いを増している。自由貿易を脅かしかねず、軽視できない動きである。
G7の各首脳は、TPPの議会承認など、国内手続きの進展にも指導力を発揮してもらいたい。
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開幕した。最大の焦点だった世界経済の討議では、新興国経済の減速などを背景に、大きなリスクに直面しているとの認識で一致した。
議長の安倍首相は、新興国の投資や国内総生産が低迷している具体的なデータを基に、2008年のリーマン・ショック前の状況に似ているとの見解を示した。
「政策対応を誤ると、通常の景気循環を超え、危機に陥るリスクがある」とも指摘した。
他の首脳からは「危機とまで言うのはどうか」という意見も出たが、各国の状況に応じて「機動的な財政戦略と構造政策を果断に進める」ことを確認した。
首相がリーマン・ショックにまで言及したのは、17年4月の消費税率引き上げを先送りするための布石なのではないか。
首相は、金融政策と財政出動、構造改革の三つの政策手段をG7版「3本の矢」と位置づけて政策の総動員を求め、了承された。
G7が危機発生に先手を打つ形で、臨機応変に政策対応をとる方針で合意したのは成果だ。
先進各国では、景気の長期停滞への懸念から、個人や企業が消費や投資を控える需要不足が共通の課題となっている。
規制緩和などで潜在成長力を上げ、民間の投資を促すことが肝心だ。ただ、民需が自律的に高まるには一定の時間がかかる。政府が機動的に財政出動し、需要の創出に努めることは意義がある。
各国首脳からは、成長の低迷や格差拡大が、政治的なポピュリズム(大衆迎合)の台頭を招く一因だとする指摘も相次いだ。
会議では、中間層が将来に期待を持てる社会にするには、「質の高いインフラ(社会基盤)」や教育、科学技術分野などへの投資が重要だとの認識で一致した。着実な政策の遂行が求められる。
自由貿易の推進については、日米加を含む12か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効や、日本と欧州連合(EU)による経済連携協定の交渉を着実に進めることを再確認した。
米国では秋に大統領選を控え、国内産業を守ることを優先する保護主義的な主張が勢いを増している。自由貿易を脅かしかねず、軽視できない動きである。
G7の各首脳は、TPPの議会承認など、国内手続きの進展にも指導力を発揮してもらいたい。