混迷を深める中東で高い成長を続けてきたトルコを暗い影が覆いつつある。同国で過去最悪とされる爆弾テロが首都アンカラで起き、多くの市民が犠牲になった。
残忍な犯行に怒りを覚える。内戦が続くシリアと接し、欧州とのつなぎ目に位置するトルコの安定は地域に不可欠だ。国際社会はテロ対策や難民支援でトルコとの連携を強めなければならない。
政府と対立するクルド人勢力との和平を訴える集会がテロに狙われた。背後関係ははっきりしないが、トルコ軍は7月、過激派組織「イスラム国」(IS)と、クルド人反政府組織に対する空爆を同時に始めた経緯がある。
トルコにはシリアから約200万人の難民がなだれ込んでいる。一部はトルコを経由して欧州に向かう。ISの脅威と難民、クルド問題が重くのしかかっている。
テロは11月1日に予定されている総選挙の前に起きた。6月の総選挙で与党の公正発展党(AKP)の獲得議席数が過半数を割り、その後の連立協議が不調に終わったためのやり直し選挙である。
トルコは過去10年、日々の生活の規範としてイスラム教の価値観を重視しながら、高い経済成長を実現してきた。首相として長年、AKPを率いたエルドアン大統領の下で政治が安定したことが飛躍をもたらしたのは間違いない。
しかし、近年は政権の長期化に伴う強権的な政治手法に反発が強まっている。今回の悲惨なテロを受けて、事件を防げなかった政府を批判するデモも起きている。国民との亀裂は一層の政治の停滞をもたらしかねない。
歴史的に日本とトルコは良好な関係を築いてきた。なかでも安倍晋三首相はエルドアン大統領との関係を深めてきた。爆弾テロ直前の今月上旬には大統領が日本を訪れ、安倍首相と会談した。
トルコでは来月、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。地域大国のトルコを失速させてはならない。日本もテロや難民対策で積極的に協力することが重要だ。
残忍な犯行に怒りを覚える。内戦が続くシリアと接し、欧州とのつなぎ目に位置するトルコの安定は地域に不可欠だ。国際社会はテロ対策や難民支援でトルコとの連携を強めなければならない。
政府と対立するクルド人勢力との和平を訴える集会がテロに狙われた。背後関係ははっきりしないが、トルコ軍は7月、過激派組織「イスラム国」(IS)と、クルド人反政府組織に対する空爆を同時に始めた経緯がある。
トルコにはシリアから約200万人の難民がなだれ込んでいる。一部はトルコを経由して欧州に向かう。ISの脅威と難民、クルド問題が重くのしかかっている。
テロは11月1日に予定されている総選挙の前に起きた。6月の総選挙で与党の公正発展党(AKP)の獲得議席数が過半数を割り、その後の連立協議が不調に終わったためのやり直し選挙である。
トルコは過去10年、日々の生活の規範としてイスラム教の価値観を重視しながら、高い経済成長を実現してきた。首相として長年、AKPを率いたエルドアン大統領の下で政治が安定したことが飛躍をもたらしたのは間違いない。
しかし、近年は政権の長期化に伴う強権的な政治手法に反発が強まっている。今回の悲惨なテロを受けて、事件を防げなかった政府を批判するデモも起きている。国民との亀裂は一層の政治の停滞をもたらしかねない。
歴史的に日本とトルコは良好な関係を築いてきた。なかでも安倍晋三首相はエルドアン大統領との関係を深めてきた。爆弾テロ直前の今月上旬には大統領が日本を訪れ、安倍首相と会談した。
トルコでは来月、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。地域大国のトルコを失速させてはならない。日本もテロや難民対策で積極的に協力することが重要だ。