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[読売新聞] 有給休暇取得率 効率的に働いて引き上げよう (2015年10月18日)

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効率的に働き、しっかり休む。長時間労働を是正し、仕事と生活の調和を図るには、有給休暇の取得率向上が重要だ。

厚生労働省が昨年度から有休取得促進期間に定めた10月、改めて労使で実効性ある対策を練ってもらいたい。

休んでも賃金が支払われる有休は、労働基準法が定める労働者の権利だ。6か月以上勤め、出勤率が8割以上なら、勤続年数に応じて年10?20日認められる。パートなどにも一定の有休がある。

働く人が休暇によって心身ともにリフレッシュすれば、仕事への意欲が高まろう。企業の業績向上にもつながると期待される。

だが、有休の取得率は近年、50%を下回る水準で低迷している。2014年は47・6%にとどまった。政府は、20年までに70%に引き上げる目標を掲げるが、現状とは大きな隔たりがある。

労働時間が長い人ほど、取得率が低い傾向が見られる。週60時間以上働く正社員では、3割近くが年間1日も取得していない。過労死につながりかねない現状の改善を急がねばならない。

課題となるのは、長時間労働を前提とした働き方の見直しと、管理職の意識改革である。

厚労省の調査では、労働者の3分の2が有休の取得に「ためらい」を感じている。「皆に迷惑がかかる」「後で多忙になる」を理由に挙げる人が多い。

有効な対策となるのが、「計画的付与制度」の普及だろう。

有休の取得は本人の申し出が原則だが、労使協定を結べば、有休の一部について、企業が計画的に割り振ることができる。労働者が気兼ねなく休める上、企業側も労務管理がしやすくなるのが、この制度のメリットだ。

採用している企業は2割に満たないが、そうでない企業より平均取得率は8ポイント程度高い。

先の国会に提出された労働基準法改正案には、年5日の有休を企業の責任で確実に取得させる仕組みの導入が盛り込まれた。早期成立を目指したい。

家族の誕生日に有休を取得する制度を設けるなど、利用しやすいように工夫する企業も増えてきた。厚労省は、土日や祝日に有休を組み合わせる「プラスワン休暇」を推奨している。

祭りや行事に合わせて休暇の取得を呼びかける自治体もある。

余暇の充実は、観光や趣味などの消費拡大にも役立つ。企業や地域の実情に合った対策を、官民で推進する必要がある。

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