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[日経新聞] 都政を前に進めるには調整力が必要だ (2016年08月01日)

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東京都知事選で元防衛相の小池百合子氏が初当選した。女性初の都知事の誕生である。首都の新しい顔、東京五輪の顔として小池氏に課せられた責務は重い。

小池氏は高い知名度を背景に、選挙戦を序盤から優勢に進め、自民党や公明党などが推薦した増田寛也氏や野党4党が推した鳥越俊太郎氏らを寄せ付けなかった。

自民党からの推薦を受けられなかったことを逆手に取って「組織との戦い」と位置づけた戦略が奏功したのだろう。無党派層はもとより、自民支持層などからも幅広く得票した。

小池氏は「東京大改革」を掲げ、都政の透明化や行財政改革の推進を訴えた。都道からの電柱の一掃、東京版グラミン金融(小口無担保融資)の推進など様々な政策も打ち出している。まずこうした公約を着実に前に進めてほしい。

小池氏が主張する五輪予算の適正化も必要だ。五輪に関係する費用の全体像を早急に明らかにして、不要な経費を削るべきだ。開催まで4年を切った今、時間との勝負になる。国などとの費用負担の見直しについて、さっそく調整力が問われる。

子育て環境を充実し、高齢者介護の受け皿を整えることも重要な課題だ。本紙が選挙期間中に実施した世論調査の結果をみても新知事に力を入れてほしい政策として「医療・福祉」を選んだ人が最も多く、「少子化対策・子育て」が続いた。

2020年ごろにも東京の人口は減少に転じる見通しだ。全国から人を集めて成長してきた東京は新たな局面に入る。都市の魅力を磨き、海外から人材や投資を呼び込まないと東京の活力を維持することは難しい。

五輪の準備と並行して、五輪後をにらんだビジョンをつくり、今から取り組んでもらいたい。首都直下型地震への対応も腰を入れて取り組むべきだ。

一方、出馬表明以降の小池氏の発言には気がかりな点もある。都議会自民党との対決をいたずらに打ち出していることだ。政策決定で情報公開を進めることは大事だが、ボタンを掛け違えると都政は再び混乱しかねない。

地方自治は首長と議員をともに住民が直接選ぶ二元代表制だ。有権者の支持を得たからといって、議会を抜きに物事を進められるわけではない。小池新知事にはこの点を冷静に考えてほしい。

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