広島は6日、長崎は9日に、それぞれ71回目の原爆忌を迎える。
非人道的な悲劇を、二度と繰り返してはなるまい。より多くの世界の指導者に被爆の実相を伝え、核軍縮の機運を高めることが大切だ。
広島市の松井一実市長はきょう発表する平和宣言で、5月にオバマ米大統領が広島を初訪問した際の声明を引用する。「核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」という一節だ。
松井氏は、オバマ氏が声明で示した「情熱」を「あの『絶対悪』を許さないというヒロシマの思いが届いた証し」と評価する。
広島平和記念資料館は、オバマ氏自作の折り鶴4羽が展示された後、入館者が前年同期比で4割も増えた。オバマ氏の歴史的な被爆地訪問は、日本人が原爆と平和を改めて考える機会にもなった。
オバマ氏の訪問を一回限りのものにしてはならない。今後も、様々な核保有国の首脳らに対し、広島や長崎で原爆の惨禍に直接触れるよう働きかけ続けたい。
核軍縮交渉が停滞する中、その努力が、核廃絶という究極の目標への長い道程の一歩となろう。
米国社会でも、原爆投下への評価は着実に変化している。
「戦争終結を早めた」と正当化する人の比率は、終戦時の85%から昨年は56%にまで減少した。
今春には米国で、ドキュメンタリー映画「ペーパー・ランタンズ(灯籠流し)」が制作された。米兵捕虜12人が被爆死した事実を発掘した広島在住の森重昭さん(79)と、現地を昨年訪れた米国人遺族らの心の交流を描いた作品だ。
森さんと遺族が灯籠流しで死者を弔う場面は、平和への思いを静かに訴える。森さんは、オバマ氏と広島で抱き合った被爆者だ。
年々、風化しがちな被爆体験を継承することも重要である。
広島市は昨年度、「被爆体験伝承者」による講話事業を始めた。伝承者が被爆者から聞き取った話を、次代の人々に語り続ける。
平和記念資料館は2018年度から、遺品や日記など、実物中心の展示に切り替える。被爆者の人形や模型ではなく、「実物の力」を最大限生かす狙いだという。
今年の大宅壮一ノンフィクション賞は、堀川惠子さんの「原爆供養塔」に贈られた。原爆犠牲者の遺骨約7万柱を納めた平和記念公園内の塚と、その塚を長年守り続けた女性の物語だ。
貴重な被爆体験を正確に記録して、世界へ発信する。日本人が忘れてはならない責務である。
非人道的な悲劇を、二度と繰り返してはなるまい。より多くの世界の指導者に被爆の実相を伝え、核軍縮の機運を高めることが大切だ。
広島市の松井一実市長はきょう発表する平和宣言で、5月にオバマ米大統領が広島を初訪問した際の声明を引用する。「核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」という一節だ。
松井氏は、オバマ氏が声明で示した「情熱」を「あの『絶対悪』を許さないというヒロシマの思いが届いた証し」と評価する。
広島平和記念資料館は、オバマ氏自作の折り鶴4羽が展示された後、入館者が前年同期比で4割も増えた。オバマ氏の歴史的な被爆地訪問は、日本人が原爆と平和を改めて考える機会にもなった。
オバマ氏の訪問を一回限りのものにしてはならない。今後も、様々な核保有国の首脳らに対し、広島や長崎で原爆の惨禍に直接触れるよう働きかけ続けたい。
核軍縮交渉が停滞する中、その努力が、核廃絶という究極の目標への長い道程の一歩となろう。
米国社会でも、原爆投下への評価は着実に変化している。
「戦争終結を早めた」と正当化する人の比率は、終戦時の85%から昨年は56%にまで減少した。
今春には米国で、ドキュメンタリー映画「ペーパー・ランタンズ(灯籠流し)」が制作された。米兵捕虜12人が被爆死した事実を発掘した広島在住の森重昭さん(79)と、現地を昨年訪れた米国人遺族らの心の交流を描いた作品だ。
森さんと遺族が灯籠流しで死者を弔う場面は、平和への思いを静かに訴える。森さんは、オバマ氏と広島で抱き合った被爆者だ。
年々、風化しがちな被爆体験を継承することも重要である。
広島市は昨年度、「被爆体験伝承者」による講話事業を始めた。伝承者が被爆者から聞き取った話を、次代の人々に語り続ける。
平和記念資料館は2018年度から、遺品や日記など、実物中心の展示に切り替える。被爆者の人形や模型ではなく、「実物の力」を最大限生かす狙いだという。
今年の大宅壮一ノンフィクション賞は、堀川惠子さんの「原爆供養塔」に贈られた。原爆犠牲者の遺骨約7万柱を納めた平和記念公園内の塚と、その塚を長年守り続けた女性の物語だ。
貴重な被爆体験を正確に記録して、世界へ発信する。日本人が忘れてはならない責務である。