南米大陸に初めて聖火が灯(とも)った。
リオデジャネイロ五輪が開幕した。200を超える国・地域から1万人余の選手が参加する。21日までの期間中、世界のアスリートの力と技を堪能したい。
南米一の経済大国ブラジルは、その存在感を世界に示すために五輪を招致したものの、政治的混迷の中での開幕となった。
開会式でテメル大統領代行が開会宣言をしたのが、その象徴である。ルセフ大統領は、政府会計を粉飾した疑惑で、議会による弾劾プロセスが始まり、停職中だ。
経済の低迷が続き、五輪を冷ややかに見る国民は多い。チケットの売れ行きは低調だという。
不安定な国内情勢の中、最も心配なのが、テロの発生だ。過激派組織「イスラム国」に共鳴するグループが7月、五輪でのテロを企てた疑いで摘発された。
大会期間中、前回ロンドン五輪の約2倍の8万5000人が警備にあたる。だが、警備員を派遣する予定だった業者が、人員を確保できずに契約を解除されるなど、大勢の観客が集まるソフトターゲットを守る態勢に不安が残る。
ブラジル政府は、各国政府と連携し、テロの封じ込めに全力を注がねばならない。
ジカ熱対策では、当局には正確な情報提供が求められる。
ロシアの国ぐるみのドーピングが発覚したことで、国際オリンピック委員会(IOC)も、混乱を引きずったまま大会を迎えた。開幕前のIOC総会では、ロシアをリオ五輪から全面排除しなかった理事会の決定が追認された。
ロシアに対するIOCの弱腰の姿勢に、批判が高まっている。それにもかかわらず、トーマス・バッハ会長は、混乱を招いた責任は、五輪直前に不正を公表した世界反ドーピング機関(WADA)にある、との認識を示した。
五輪の公正性が大きな危機にあることを自覚しているのか。
ロシア選手は、当初予定より約100人少ないものの、約270人の出場が認められる見通しだ。IOCは大会中のドーピング違反に厳正に対処せねばならない。
今回の五輪では「難民選手団」が結成された。五輪の出場資格を満たしながら、政情不安などのため、母国代表になれない選手の救済が目的だ。こうした取り組みはIOCの信頼回復につながる。
日本選手は、338人が出場する。金メダル14個、メダル総数30個以上の目標に向け、日頃の力を存分に発揮してほしい。
リオデジャネイロ五輪が開幕した。200を超える国・地域から1万人余の選手が参加する。21日までの期間中、世界のアスリートの力と技を堪能したい。
南米一の経済大国ブラジルは、その存在感を世界に示すために五輪を招致したものの、政治的混迷の中での開幕となった。
開会式でテメル大統領代行が開会宣言をしたのが、その象徴である。ルセフ大統領は、政府会計を粉飾した疑惑で、議会による弾劾プロセスが始まり、停職中だ。
経済の低迷が続き、五輪を冷ややかに見る国民は多い。チケットの売れ行きは低調だという。
不安定な国内情勢の中、最も心配なのが、テロの発生だ。過激派組織「イスラム国」に共鳴するグループが7月、五輪でのテロを企てた疑いで摘発された。
大会期間中、前回ロンドン五輪の約2倍の8万5000人が警備にあたる。だが、警備員を派遣する予定だった業者が、人員を確保できずに契約を解除されるなど、大勢の観客が集まるソフトターゲットを守る態勢に不安が残る。
ブラジル政府は、各国政府と連携し、テロの封じ込めに全力を注がねばならない。
ジカ熱対策では、当局には正確な情報提供が求められる。
ロシアの国ぐるみのドーピングが発覚したことで、国際オリンピック委員会(IOC)も、混乱を引きずったまま大会を迎えた。開幕前のIOC総会では、ロシアをリオ五輪から全面排除しなかった理事会の決定が追認された。
ロシアに対するIOCの弱腰の姿勢に、批判が高まっている。それにもかかわらず、トーマス・バッハ会長は、混乱を招いた責任は、五輪直前に不正を公表した世界反ドーピング機関(WADA)にある、との認識を示した。
五輪の公正性が大きな危機にあることを自覚しているのか。
ロシア選手は、当初予定より約100人少ないものの、約270人の出場が認められる見通しだ。IOCは大会中のドーピング違反に厳正に対処せねばならない。
今回の五輪では「難民選手団」が結成された。五輪の出場資格を満たしながら、政情不安などのため、母国代表になれない選手の救済が目的だ。こうした取り組みはIOCの信頼回復につながる。
日本選手は、338人が出場する。金メダル14個、メダル総数30個以上の目標に向け、日頃の力を存分に発揮してほしい。