東京都の小池百合子知事は、東京都中央卸売市場・築地市場(中央区)と、その移転先となる豊洲市場(江東区)を視察した。安全性の確保に疑問があるとして移転の時期を見直す考えを、都知事選で表明していた。
豊洲では建設計画の決定後に土壌から有害物質が検出され、東京都は対策を進めてきた。その結果、市場の用地で実施した水質調査ですべて環境基準を満たしているとして、計画通り11月7日に開場する方針を示していた。
これに対し小池知事は、水質調査はもともと2年間かける計画なのに、その調査期間が完了する11月18日より前に開場を決めたことなどに疑問を投げかけている。
新市場には水産物を中心に全国の食品が集まる。安全性への不安が再燃しないよう、適切な検査と情報開示は欠かせない。
ただ、卸会社などの市場参加者はすでに、11月の開場に向けて準備の最終段階に入っている。国内最大の卸売市場の移転である。混乱なく進めてもらいたい。
1935年に開場した築地市場は老朽化が目立つ。開放型の施設なので、生鮮品の流通で高まる温度や品質管理への要求にも十分に対応できない。
豊洲市場では閉鎖型の施設に変え、量販店などの要望に応えるため市場内で生鮮品を加工できる設備や荷さばき場も導入した。今後も市場参加者の利便性を高める努力が求められる。
中央卸売市場は都内だけで11、全国では64もある。整理統合は遅れ、輸送網の整備で中核市場に全国の食品が集まるようになった流通の変化に追い付いていない。豊洲市場の開業に合わせ、東京都などの自治体は市場の再編と近代化を進めるべきだ。
小池知事はリオデジャネイロ五輪の閉会式から戻った後に結論を出す方針だが、卸売市場の合理化は着実に進めてほしい。約5800億円まで膨らんだ豊洲への移転にかかる総事業費が適正だったかも、検証が要るだろう。
豊洲では建設計画の決定後に土壌から有害物質が検出され、東京都は対策を進めてきた。その結果、市場の用地で実施した水質調査ですべて環境基準を満たしているとして、計画通り11月7日に開場する方針を示していた。
これに対し小池知事は、水質調査はもともと2年間かける計画なのに、その調査期間が完了する11月18日より前に開場を決めたことなどに疑問を投げかけている。
新市場には水産物を中心に全国の食品が集まる。安全性への不安が再燃しないよう、適切な検査と情報開示は欠かせない。
ただ、卸会社などの市場参加者はすでに、11月の開場に向けて準備の最終段階に入っている。国内最大の卸売市場の移転である。混乱なく進めてもらいたい。
1935年に開場した築地市場は老朽化が目立つ。開放型の施設なので、生鮮品の流通で高まる温度や品質管理への要求にも十分に対応できない。
豊洲市場では閉鎖型の施設に変え、量販店などの要望に応えるため市場内で生鮮品を加工できる設備や荷さばき場も導入した。今後も市場参加者の利便性を高める努力が求められる。
中央卸売市場は都内だけで11、全国では64もある。整理統合は遅れ、輸送網の整備で中核市場に全国の食品が集まるようになった流通の変化に追い付いていない。豊洲市場の開業に合わせ、東京都などの自治体は市場の再編と近代化を進めるべきだ。
小池知事はリオデジャネイロ五輪の閉会式から戻った後に結論を出す方針だが、卸売市場の合理化は着実に進めてほしい。約5800億円まで膨らんだ豊洲への移転にかかる総事業費が適正だったかも、検証が要るだろう。