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[産経新聞] 【主張】ホーム転落事故 利用者本位の対策を急げ (2016年08月19日)

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視覚障害のある男性がホームから転落し、電車にはねられ死亡する事故が起きた。

目の不自由な人にとってホームは「欄干のない橋」にたとえられ、痛ましい事故が繰り返されている。なんとしても止めたい。

そのため、障害者や高齢者ら利用者の視点に立って再点検し、さらなる安全対策を急ぐべきだ。

事故は今月15日夕、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で起きた。防犯カメラの映像などによると、男性は盲導犬を連れ、点字ブロック上を歩いていたが、次第にホーム端に寄り転落した。点字ブロックを遮る形で柱があり、避けようとした可能性があるという。

再発防止のためにも、専門家や視覚障害者の団体などの協力を得て事故原因を詳しく調査してもらいたい。

5年前、JR目白駅で全盲の男性が転落し電車にはねられ死亡する事故があった。視覚障害者がホームから転落する事故は全国で平成26年度は80件に上る。視覚障害者の約4割が「転落の経験がある」という調査もある。

転落事故防止のため、可動式ホームドア設置は有効だ。鉄道各社は設置を進めているが、国土交通省によると1日10万人以上が利用する全国約250駅のうち、設置駅はなお約3割にとどまる。

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複数の会社路線が乗り入れている場合、車両のドアの位置が異なるほか、駅によってはホームの基礎工事からやり直す必要があるなど簡単ではない。だが、命を守るため、できる対策は着実に行いたい。事故を教訓とし、さらに設置を加速すべきだ。

施設改善のハード面の対策とともに、障害者や高齢者らをサポートする周囲の見守りも欠かせない。お手伝いしましょうか、とためらわずひと声をかけたい。

ホームの点字ブロックの上に、あたりまえのように並んで電車を待っていないか。歩きスマホは、自身にも他の人にとっても大変危険である。

2020年東京五輪・パラリンピックに向け、バリアフリー化など施設整備が進められているが、根本的な安全対策をいま一度再点検してほしい。

その際、施設管理者の都合でなく、障害者など実際に使う人たちの声を聞いて行うことを忘れないでもらいたい。

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