四年後の実施をめざす温暖化対策の新ルール、パリ協定を、温室効果ガスの排出世界一位の中国と二位の米国がそろって承認した。米中が変われば世界は変わる。日本は置き去りにされるのか。
新しい地球温暖化対策のルールの大枠を定めたパリ協定は昨年末、難産の末に採択された。
ただし、国際会議で採択されても、国と国との約束事は効力を示さない。採択した国の法律や手続きに基づいて、個別に承認を得る必要がある。多くの国では、この作業を「批准」と呼んでいる。
パリ協定の発効には、採択に加わった百九十七の国と地域中、五十五カ国が参加を承認し、温室効果ガス排出量の総計が世界全体の55%以上になるのが条件だ。
これまでに二十四カ国・地域が承認したものの、排出量では約1%にとどまっていた。
中国(20・1%)と米国(17・9%)の承認(批准)で、一気に40%近くに上り、年内発効は確実な情勢だ。現行ルールの京都議定書のもとでは、両大国とも削減には参加していない。
オバマ米大統領の任期は来年の一月まで。温暖化対策への貢献を歴史に刻みたいという思いは強く、議会の承認を仰がずに、大統領権限で受諾を決めた。
パリ協定は、いったん発効すれば、その四年後まで離脱できない仕組みになっている。協定に批判的な次期大統領が誕生しても、オバマ氏の“遺産”は残る。
良くも悪くも、米国が動けば、パリ協定は大きく動き、機能し始める。オゾン層保護のためのモントリオール議定書(一九八七年)が効果を挙げたようにである。中国が協調すれば、なおさらだ。
日本はどうか。自国で誕生した京都議定書からはすでに離脱、パリ協定に対しても、「3・11後のエネルギー政策が定まらないから」などと、消極姿勢を崩さない。
発効まであと15%。世界の視線は、第6位の排出国(3・8%)である日本にも再び注がれることになるだろう。
異常気象の進行は予想以上のスピードで、しかも広範に、世界を覆い始めている。米中の積極姿勢の背景も、外交的、政治的思惑だけではないはずだ。気候変動への危機感はベースにある。
パリ協定の中身を詰めるのはこれからだ。その交渉から置き去りにされないためにも、だがそれ以上に、目前の危機から逃れるために、まずは批准を急ぎたい。
新しい地球温暖化対策のルールの大枠を定めたパリ協定は昨年末、難産の末に採択された。
ただし、国際会議で採択されても、国と国との約束事は効力を示さない。採択した国の法律や手続きに基づいて、個別に承認を得る必要がある。多くの国では、この作業を「批准」と呼んでいる。
パリ協定の発効には、採択に加わった百九十七の国と地域中、五十五カ国が参加を承認し、温室効果ガス排出量の総計が世界全体の55%以上になるのが条件だ。
これまでに二十四カ国・地域が承認したものの、排出量では約1%にとどまっていた。
中国(20・1%)と米国(17・9%)の承認(批准)で、一気に40%近くに上り、年内発効は確実な情勢だ。現行ルールの京都議定書のもとでは、両大国とも削減には参加していない。
オバマ米大統領の任期は来年の一月まで。温暖化対策への貢献を歴史に刻みたいという思いは強く、議会の承認を仰がずに、大統領権限で受諾を決めた。
パリ協定は、いったん発効すれば、その四年後まで離脱できない仕組みになっている。協定に批判的な次期大統領が誕生しても、オバマ氏の“遺産”は残る。
良くも悪くも、米国が動けば、パリ協定は大きく動き、機能し始める。オゾン層保護のためのモントリオール議定書(一九八七年)が効果を挙げたようにである。中国が協調すれば、なおさらだ。
日本はどうか。自国で誕生した京都議定書からはすでに離脱、パリ協定に対しても、「3・11後のエネルギー政策が定まらないから」などと、消極姿勢を崩さない。
発効まであと15%。世界の視線は、第6位の排出国(3・8%)である日本にも再び注がれることになるだろう。
異常気象の進行は予想以上のスピードで、しかも広範に、世界を覆い始めている。米中の積極姿勢の背景も、外交的、政治的思惑だけではないはずだ。気候変動への危機感はベースにある。
パリ協定の中身を詰めるのはこれからだ。その交渉から置き去りにされないためにも、だがそれ以上に、目前の危機から逃れるために、まずは批准を急ぎたい。