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[産経新聞] 【主張】日中首脳会談 改善の道筋が見られない (2016年09月07日)

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首脳が話し合いの場をもち、握手をしてみせても、それだけで厳しい国同士の関係が改善に向かうわけではない。

3度目となった安倍晋三首相と中国の習近平国家主席との会談で、両国間に立ちふさがる重大な問題について、実質的な解決の道筋はつけられなかった。

南シナ海、東シナ海における中国の力ずくの海洋進出についてである。安倍首相が国際法に基づいて行動するよう促したのに対し、習氏は拡張主義的な行動を改めるつもりがない姿勢を示した。

緊張緩和にはほど遠い状況を厳しく受け止めなければならない。日本は米国など国際社会と連携して中国に翻意を促し続け、併せて抑止力の強化に努めることが急務である。

首相は、日中に困難な課題は少なくないとしながらも「ウィンウィンの協力や交流を進め、安定的な友好関係を築きたい」と呼びかけた。習氏は「マイナスを減らしてプラスを増やしていこう」と語った。

前向きな言葉を述べあう余地が残っているとはいえ、事態の好転には直接つながらない。

東シナ海では、尖閣諸島やガス田をめぐって中国の圧迫が増すばかりだ。領海への中国公船の侵入は常態化し、ガス田施設には軍事転用が懸念されるレーダーが置かれた。中国海空軍の挑発行動はやむことがない。

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首相は、公船侵入について「極めて遺憾だ」と自制を求めた。両首脳は、日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用の開始に向け、協議を加速することで一致した。それでも運用が始まる保証などない。

習氏は「両国は妨害を排除して一日も早く発展の軌道に戻すよう努力しなければならない」と語ったが、できの悪い冗談にしか聞こえない。中国の行動こそ「妨害」にほかならないのである。

南シナ海問題でも、首相は国際法の順守を強く求めた。ただ、中国が嫌う仲裁裁判所の裁定には直接、言及しなかった。中国を刺激しまいと、事務当局の事前の交渉で打ち合わせたのだろうか。

その結果は、「日本は当事国ではない」「日本は言動に注意すべきだ」という習氏の居丈高な発言の繰り返しだった。国際社会の懸念を直接伝えられる機会を十分、生かせなかったのは残念だ。

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