Quantcast
Channel: 新聞社説まとめサイト
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

[読売新聞] 北ミサイル脅威 発射技術の向上に備え怠るな (2016年09月08日)

$
0
0
北朝鮮の弾道ミサイルが日本に及ぼす脅威が深刻化する一方だ。政府は国民の安全確保に万全を期さねばならない。

北朝鮮が弾道ミサイル3発をほぼ同時に発射したことについて、国連安全保障理事会は、「深刻な懸念」を表明する非難声明を出した。

3月の制裁決議採択以降も、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返している。安保理は、決議違反を批判する拘束力のない声明を7回発表したが、成果には結びついていない。このままでは安保理の権威が失墜しかねない。

非常任理事国の日本は、米国と緊密に協調して制裁決議を最大限活用し、北朝鮮への圧力を強める方策を探ることが肝要である。

北朝鮮国営メディアは、今回の「訓練」で「ミサイルの誘導命中率」を確認したと伝えた。発射映像も報じ、成功を吹聴した。今月9日の建国記念日に向けて、朝鮮労働党の金正恩委員長の求心力を高める狙いもあったのだろう。

ミサイル3発は「ノドン」か「スカッド」とみられる。稲田防衛相は「同時に発射し、ほぼ同地点に落下した。確実に能力が向上している」との認識を示した。

日米のミサイル防衛システムはイージス艦搭載の迎撃ミサイルと地対空誘導弾で構成される。

現在のイージス艦6隻の態勢では、複数のミサイルが同時に発射された場合の対処は困難だと指摘されている。迎撃態勢を点検し、強化することが喫緊の課題だ。

看過できないのは、北朝鮮が先月初めのノドンに続き、事前通報なしに日本の排他的経済水域(EEZ)に落下させたことである。漁船などに被害が出かねず、危険極まりない。

政府は、さらなる発射への警戒を強める必要がある。発射情報を航空機や船舶などに迅速に伝えるシステムの整備が急務だ。

北朝鮮が核弾頭を小型化し、精度が向上したミサイルに搭載すれば、アジアの安全保障にとって一層憂慮すべき事態となる。

オバマ米大統領と韓国の朴槿恵大統領は、ラオスで会談し、米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」を在韓米軍に配備する必要性を確認した。

中国は配備に反対している。習近平国家主席が朴氏との会談で、「地域の戦略的安定のためにならない」と圧力をかけたことは、筋違いである。北朝鮮の暴走を阻止するためにこそ、自らの影響力を行使することが求められよう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

Trending Articles