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[日経新聞] 「北風」で普天間移設できるか (2016年09月17日)

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米軍普天間基地の沖縄県名護市辺野古への移設をめぐる国と県の争いに初の司法判断が下った。ただ、敗訴した県は最高裁に上告する方針で、決着にはなお時間がかかる。国は最高裁でも勝つに決まっているとたかをくくらず、県との歩み寄りに努めるべきだ。

辺野古移設に必要な公有水面の埋め立ては知事に諾否を決める権限がある。仲井真弘多前知事は承認したが、翁長雄志現知事は取り消した。福岡高裁那覇支部は知事の取り消しを取り消せという国の主張は妥当だと判断した。

判決は、国防・外交上の事項は「国の本来的任務」であり、「尊重されるべきだ」と指摘した。同時に普天間基地の県内移設によって「基地負担が軽減される」として「承認を取り消すべき公益上の必要が優越しているとはいえない」と強調した。

国の言い分をそのまま認めた形であり、最高裁もこれを踏襲する可能性が高い。問題は、司法判断が確定したとしても、それで移設がすんなり進むとは言い切れないところにある。

沖縄ではこのところ国政選で移設反対の候補が勝ち続けている。この民意を追い風に翁長知事はあらゆる権限を駆使して移設工事を妨げる考えだ。

他方、安倍政権は2017年度予算案の概算要求で沖縄関連予算を減らした。「毎年使い切れていない」と説明するが、減額すれば兵糧攻めと受け取られることはわかっているはずだ。

双方の対立は移設の是非はどこへやら、もはや感情論の域に達している。本土は沖縄のことをないがしろにしている。県民がそう考え続ける限り、打開の糸口は見いだせない。

政治的困難を解決するには北風を吹かせるだけでなく、太陽も必要だ。自民党の二階俊博幹事長が訪沖し、翁長知事に「難しいことはたくさんあるが乗り越えたい」と伝えたそうだ。こうした信頼関係づくりは重要だ。政府がどう動くのかに注目したい。

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