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[朝日新聞] 富山市議会 許されぬ裏切り行為だ (2016年09月18日)

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いったい公金をなんだと思っているのか。有権者への裏切り行為に強い憤りを覚える。

富山市議会で、政務活動費の不正取得が次々と明らかになった。ほぼ半月で自民の3議員が辞職し、自民、民進系両会派の計5議員が辞職を表明した。欠員が定数の6分の1を超え、補欠選挙となる異常事態だ。

領収書をパソコンで偽造したり、数字を1けた加えたり。すでに一部の議員について、市民団体が詐欺容疑で富山県警に告発状を提出している。

不正取得額は判明分だけで約2600万円にのぼる。詐欺や着服の疑いがあれば訴追されるのは当然としても、まず各議員が辞職で終わらせるのではなく、不正の全容を明らかにし、説明を尽くす必要がある。

手口が会派内で引き継がれていたと認めた議員もいる。不正は会派ぐるみだったのか。ほかに不適切な使い方はないのか。解明すべきことは多い。

同時に市や議会事務局は本当に気づかなかったのか。市議会全体の責任として徹底解明しないと、予算案件など政策審議はとてもまかせられない、というのが市民の感覚ではないか。

議員の釈明を聞いて感じるのは納税者との意識のずれだ。

約695万円の不正取得を認めた議員は、大半を飲食代に充てていたという。「この世界はそういうものだという感覚だった」と説明する議員もいた。

あぜんとするほかない。

富山市議会では、月60万円の議員報酬を70万円に引き上げる条例案が6月に可決された。まず白紙に戻し、議員報酬や政活費のあり方について一から審議し直すのが、最低限、市民に示すべき態度ではないか。

野々村竜太郎・元兵庫県議による政活費の問題が発覚した14年7月以降、収支報告書や領収書をインターネットで公開する議会も増えている。富山市議会はそれもしていない。

今年6月には、宮城県議会の議長が政活費を自宅の水道代などに充てていたとして議長を辞任。7月には、虚偽の領収書で約565万円を不正受給したとして、元徳島県議が詐欺などの罪で在宅起訴された。

すべての自治体で、不正を防ぐ制度をつくる必要がある。

調査に使った分だけを事後精算する「後払い方式」の導入や、視察報告書など活動成果の公開、第三者機関の設置など、とるべき手段はいろいろある。何より市民が地元の議員に関心をもつことが第一歩だ。多数の目にさらすしくみを整えることが、最大の防止策となる。

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