核燃料サイクルは日本の原子力政策の要だ。頓挫させてはならない。
政府が、高速炉開発の方針を抜本的に見直すことを決めた。高速増殖炉「もんじゅ」については廃炉を含めて検討する。
電力会社やメーカーと「高速炉開発会議」を設けて議論し、年内に最終決定するという。
もんじゅが廃炉になれば、重大な政策変更である。原子力利用への影響を最小限に抑えるべきだ。もんじゅが立地する福井県をはじめ関係自治体の意見も、十分に踏まえる必要がある。
見直しのきっかけは、もんじゅでトラブルが相次いだことだ。多数の機器で点検漏れなどが見つかった。所管の文部科学省に対し、原子力規制委員会は昨年11月、日本原子力研究開発機構とは別の運営組織を探すよう勧告した。
文科省は、新法人設立を提案したが、首相官邸や経済産業省が、もんじゅの廃炉と新たな高速炉開発への移行を主張したため、調整が難航していた。
高速炉が実用化されれば、ウラン資源を有効活用できる。放射性廃棄物の減量にもつながる。新たな高速炉開発により、その歩みが確かになることが、もんじゅを廃炉にするための条件だろう。
経産省は、フランスが計画中の高速炉「ASTRID」に参画する案を提唱している。だが、まだ基本的な設計段階であり、実現性には不透明な面が多い。
詳細設計や建設に課題はないのか。日本はどの程度の費用を分担するのか。独自の技術は取得できるのか。開発会議で注意深く検討することが肝要である。
これ以上、高速炉の開発が滞れば、日本の核燃料サイクル事業全体が、しぼみかねない。
原子力発電所の使用済み核燃料から、既に取り出したプルトニウム約48トンの消費が危うくなる。電力会社は、通常の原発で燃やすプルサーマルを進める方針だが、原発の再稼働は遅れている。
核兵器に転用可能なプルトニウムの保有量が減らないと、国際社会の視線は厳しくなろう。
日本は非核兵器保有国では例外的に、日米原子力協定でプルトニウム利用を認められている。高速炉を実現する能力がないと判断されれば、協定維持は難しい。
青森県にある日本原燃の再処理工場も稼働は不可能になる。各原発で、使用済み核燃料の行き場がなくなり、新たな燃料を入れられずに、運転が止まる。こうした事態は回避せねばならない。
政府が、高速炉開発の方針を抜本的に見直すことを決めた。高速増殖炉「もんじゅ」については廃炉を含めて検討する。
電力会社やメーカーと「高速炉開発会議」を設けて議論し、年内に最終決定するという。
もんじゅが廃炉になれば、重大な政策変更である。原子力利用への影響を最小限に抑えるべきだ。もんじゅが立地する福井県をはじめ関係自治体の意見も、十分に踏まえる必要がある。
見直しのきっかけは、もんじゅでトラブルが相次いだことだ。多数の機器で点検漏れなどが見つかった。所管の文部科学省に対し、原子力規制委員会は昨年11月、日本原子力研究開発機構とは別の運営組織を探すよう勧告した。
文科省は、新法人設立を提案したが、首相官邸や経済産業省が、もんじゅの廃炉と新たな高速炉開発への移行を主張したため、調整が難航していた。
高速炉が実用化されれば、ウラン資源を有効活用できる。放射性廃棄物の減量にもつながる。新たな高速炉開発により、その歩みが確かになることが、もんじゅを廃炉にするための条件だろう。
経産省は、フランスが計画中の高速炉「ASTRID」に参画する案を提唱している。だが、まだ基本的な設計段階であり、実現性には不透明な面が多い。
詳細設計や建設に課題はないのか。日本はどの程度の費用を分担するのか。独自の技術は取得できるのか。開発会議で注意深く検討することが肝要である。
これ以上、高速炉の開発が滞れば、日本の核燃料サイクル事業全体が、しぼみかねない。
原子力発電所の使用済み核燃料から、既に取り出したプルトニウム約48トンの消費が危うくなる。電力会社は、通常の原発で燃やすプルサーマルを進める方針だが、原発の再稼働は遅れている。
核兵器に転用可能なプルトニウムの保有量が減らないと、国際社会の視線は厳しくなろう。
日本は非核兵器保有国では例外的に、日米原子力協定でプルトニウム利用を認められている。高速炉を実現する能力がないと判断されれば、協定維持は難しい。
青森県にある日本原燃の再処理工場も稼働は不可能になる。各原発で、使用済み核燃料の行き場がなくなり、新たな燃料を入れられずに、運転が止まる。こうした事態は回避せねばならない。