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[読売新聞] 豊洲盛り土問題 方針転換の経緯が不透明だ (2016年09月24日)

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重大な方針転換でありながら、部署のトップが把握していない。無責任体質に驚かされる。

東京都の築地市場の移転先となる豊洲市場の盛り土問題は、混迷の度を深めている。都の調査によると、中央卸売市場の歴代市場長は、「建物下の地下空間の存在を知らなかった」と口をそろえる。

土壌汚染対策の柱だった盛り土を建物下では取りやめ、地下空間を設けることを決めた時期や経緯は依然、判明していない。都は方針転換にあたり、専門家の意見を聞くことも怠っていた。

安全性を確認しないまま、工法を変更したのは問題である。

全容解明のため、小池百合子知事が追加調査を指示したのは当然だ。月内に最終報告をまとめるという。身内に甘い姿勢があれば、さらなる不信を招く。正確な事実関係を明らかにすべきだ。

石原慎太郎元知事は2008年5月の記者会見で、建物地下にコンクリートの構造物を埋める案について言及した。

その2か月後、土壌汚染対策を検討していた都の専門家会議は、建物下も含む敷地全体に盛り土が必要だとする提言をまとめた。

11年3月に基本設計を発注した当時の市場長は、「敷地全体で盛り土が行われていると思っていた」と説明している。

ところが、11年6月に完成した工事の基本設計書は、地下空間を設ける内容になっていた。

地下水を監視したり、汚染が生じた場合に重機を入れたりするスペースとして必要だったというが、変更に至った記録が確認されていないことは不可解である。

都の担当者と設計会社が協議を重ねる中で、地下空間の設置が決まった可能性もある。設計会社に対する調査も欠かせない。

そもそも、都はなぜ敷地全体に盛り土を行っていたかのように都議会や都民に説明していたのか。不透明な点があまりに多い。

都の市場問題プロジェクトチームは、工事入札の経緯も調査する方針だ。計画変更が工費にどう影響したのかが焦点となろう。

豊洲市場の敷地からは、環境基準を大幅に超えるベンゼンなどの有害物質が過去に検出された。都の今回の調査では、地下空間にたまった水から環境基準を超える有害物質は検出されていない。

安全性を確認する調査は大切だが、過度に不安を煽(あお)ることは避けねばならない。市場関係者の意向にも配慮しつつ、冷静に移転問題の論議を進めるべきだ。

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