激しい応酬が交わされた。米大統領選の候補者討論会だ。だが、米国民ばかりでなく世界中が最も知りたい点では、議論は深まらなかった。次期大統領は超大国をどこへ導くつもりなのか?
民主党のクリントン氏は富裕層への増税と中間層支援を掲げ、対する共和党のトランプ氏は法人税減税によって雇用創出を図ると主張した。
討論会の滑り出しは、経済政策の議論がかみ合ったものの、大半の時間は、互いが大統領になる資質に欠けるという非難合戦に費やされた。
国民の間に強い反エリートの風に乗るトランプ氏は、クリントン氏の華麗な政治キャリアを標的にした。
トランプ氏は米国が交わした自由貿易協定によって雇用が失われたと主張し、クリントン氏に対し「三十年も政界で活動してきて、なぜもっとましな協定ができなかったのか」と批判した。「確かに彼女には経験はあるが、悪い経験だ」とも言い切った。
トランプ氏はテロ対策でも、オバマ大統領と国務長官だったクリントン氏が米軍をイラクから撤退させたことで「権力の真空地帯が生まれ、過激派組織・イスラム国(IS)を誕生させてしまった」と主張した。
健康不安を抱えるクリントン氏を「スタミナがない」と切って捨てることはしても、トランプ氏は自身の具体的な政策を語ることは少なく、テロ対策でも対案を示さなかった。
一方のクリントン氏には、大統領夫人や国務長官、上院議員を務めた経験がもたらす安定感が感じられた。
半面、変革を求める国民の期待に応えられる力を見せることはできなかった。
政治経験のない型破りのトランプ氏なら、米社会を覆う閉塞(へいそく)感を打破できるという期待がトランプ現象につながった。
逆に、クリントン氏では何も変わらない、という冷ややかな空気が社会にはある。それを払拭(ふっしょく)するのは、クリントン氏の大きな課題だ。
クリントン氏は冒頭、大統領選の最大の争点について「私たちは米国をどんな国にして、どんな将来を共に築いていきたいのかが問われている」と発言した。
残念だが、討論会ではそうしたビジョンは見えてこなかった。残り二回の討論会で提示するよう両候補に求めたい。
民主党のクリントン氏は富裕層への増税と中間層支援を掲げ、対する共和党のトランプ氏は法人税減税によって雇用創出を図ると主張した。
討論会の滑り出しは、経済政策の議論がかみ合ったものの、大半の時間は、互いが大統領になる資質に欠けるという非難合戦に費やされた。
国民の間に強い反エリートの風に乗るトランプ氏は、クリントン氏の華麗な政治キャリアを標的にした。
トランプ氏は米国が交わした自由貿易協定によって雇用が失われたと主張し、クリントン氏に対し「三十年も政界で活動してきて、なぜもっとましな協定ができなかったのか」と批判した。「確かに彼女には経験はあるが、悪い経験だ」とも言い切った。
トランプ氏はテロ対策でも、オバマ大統領と国務長官だったクリントン氏が米軍をイラクから撤退させたことで「権力の真空地帯が生まれ、過激派組織・イスラム国(IS)を誕生させてしまった」と主張した。
健康不安を抱えるクリントン氏を「スタミナがない」と切って捨てることはしても、トランプ氏は自身の具体的な政策を語ることは少なく、テロ対策でも対案を示さなかった。
一方のクリントン氏には、大統領夫人や国務長官、上院議員を務めた経験がもたらす安定感が感じられた。
半面、変革を求める国民の期待に応えられる力を見せることはできなかった。
政治経験のない型破りのトランプ氏なら、米社会を覆う閉塞(へいそく)感を打破できるという期待がトランプ現象につながった。
逆に、クリントン氏では何も変わらない、という冷ややかな空気が社会にはある。それを払拭(ふっしょく)するのは、クリントン氏の大きな課題だ。
クリントン氏は冒頭、大統領選の最大の争点について「私たちは米国をどんな国にして、どんな将来を共に築いていきたいのかが問われている」と発言した。
残念だが、討論会ではそうしたビジョンは見えてこなかった。残り二回の討論会で提示するよう両候補に求めたい。