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[読売新聞] 全国学力テスト 地域の指導改善に蓄積生かせ (2016年09月30日)

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子供たちの基礎的な学力は着実に伸びている。地域ごとの順位に過度にとらわれず、授業や教育内容の改善につなげていくことが重要である。

文部科学省が4月に行った全国学力テストの結果を公表した。小学6年生、中学3年生の全員を対象に、国語と算数・数学の基礎知識と応用力を測る。2007年度から実施され、今年で10年目を迎えた。

目立つのは、成績の振るわなかった県の学力向上だ。

各教科の平均正答数をみると、成績下位県が近年、全国平均に近づき、上位県との差も縮小している。下位県が上位県に教員を派遣して指導方法を学んだり、補習を強化したりしたことが功を奏したとみられる。

民主党政権下の10、12年度は、「競争をあおる」として、約3割の学校を抽出して実施された。

全員が受ければ、抽出方式よりも正確に現状を把握でき、教員が当事者意識を持ちやすい。全員参加方式の継続が、指導内容の見直しにつながった面があろう。

一方で課題も残る。

計算や漢字の読み書きなど基礎問題の正答率は向上したが、資料を読みとって考えをまとめるといった応用問題の成績は伸び悩んでいる。記述式は無解答も多い。

グローバル社会で活躍する人材を育成するには、思考力や表現力を高めることが欠かせない。一方的に教師が教える授業を見直し、討論や発表を重視する学習方法を取り入れることが求められる。

今回は、家庭の経済状況と学校ごとの成績、指導法の関係を調査し、詳細に分析した。

自治体から就学援助を受けている家庭の割合が高い学校ほど、テスト結果は低い傾向にあった。塾通いができない、落ち着いた家庭環境になく学習に集中しづらいといったケースが考えられる。

経済状況が学力に影響しているとみられる子供が多い学校に対し、文科省は来年度、教員配置を増やす方針だ。

子供の状況に応じてきめ細かい指導を行い、家計による学力格差を抑えることが大切である。

教育委員会が都道府県別の順位を気にして、試験対策が過熱する傾向も一部で指摘されている。

学力テストは本来、結果を丁寧に分析し、指導の改善に役立てることが目的のはずだ。

実施には60億円弱の費用がかかっている。これまでの蓄積を活用し、新たな時代に求められる学力を育みたい。

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