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[読売新聞] 東京五輪施設費 野放図な膨張は許されない (2016年09月30日)

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2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用は、膨張が避けられない状況だ。手をこまぬいてはいられない。

東京都の小池百合子知事が設置した都政改革本部の調査チームが、五輪費用などに関する報告書を公表した。総費用が「3兆円を超える可能性がある」と警鐘を鳴らした。

東京五輪の総費用は当初、約7340億円と試算されていた。だが、計画が具体化される中で大幅に膨張する実態が分かった。

都や大会組織委員会は、資材や人件費の高騰などを要因に挙げるものの、招致段階の見積もりが甘過ぎたことは否定できまい。

大会まで4年を切り、小池氏は「見直しの最後の機会になるかもしれない」と強調した。多額の公費が投入される以上、費用を可能な限り縮減するのは当然だ。

将来にわたって活用する恒久施設を都が建設する。五輪後に取り壊す仮設会場については、大会組織委が受け持つ。当初は1538億円だった都の費用は、約3倍に跳ね上がることが判明し、2241億円に抑えた経緯がある。

報告書は恒久の3施設の抜本的見直しを提言している。ボート・カヌー競技用の「海の森水上競技場」の建設を中止して、会場を宮城県内に移す案などを示した。既存施設の活用により、一層の費用圧縮を図る姿勢はうなずける。

会場変更には、国際オリンピック委員会(IOC)や競技団体の承認が必要になる。大会組織委の森喜朗会長は、ここにきての変更に否定的な見解を示している。

小池氏と森氏の調整力が問われよう。都と大会組織委の費用分担の在り方をどう見直すかも、大きな課題だ。遅れがちな大会準備を加速させるためには、総費用を早急に算出して、全体計画を確定させねばならない。

報告書は、都が大会組織委の指導・監督を強化する必要性に言及した。都が資金を拠出している団体である点を重視したためだ。

大会エンブレムの撤回問題などで、大会組織委の閉鎖的体質への不信は根強い。透明性の向上とガバナンスの確立が欠かせない。

政府、都、大会組織委による準備体制について、報告書は「社長と財務部長のいない会社と同じ」と批判している。大会準備を一体的に進めるためには、責任の所在を明確にすることが急務だ。

丸川五輪相と小池氏、森氏は、角を突き合わせるのではなく、協力し合って、五輪を成功に導く重い責任を負っている。

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