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[読売新聞] 豊洲市場問題 安全確保と都政改革が重要だ (2016年10月01日)

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部局間で情報が共有されていない。コンプライアンスの意識が欠けている。豊洲市場問題を通して、都政の問題点があぶり出されたと言える。

東京都の豊洲市場の建物下に盛り土がなかった問題に関する内部調査の結果が、小池百合子知事に提出された。専門家にも諮らずに、重大な計画変更を決めたのは誰なのか、特定には至らなかった。

専門家会議が敷地全体の盛り土を提言したのは、2008年7月だ。その3か月後、盛り土をせずに地下空間を設ける案が内部で検討され、10年11月から13年2月にかけて段階的に計画が変更された。報告書はそう指摘する。

責任の所在が不明確なまま、なし崩し的に計画が変更されていた経緯がうかがえる。

報告書によると、都議会の答弁は、土壌汚染対策を所管する土木担当部門が担当していた。事実と異なるという認識のないまま、前例に沿った答弁を続けていた。

施設の建築担当部門では建物下に盛り土がないことを把握していたにもかかわらず、答弁を修正させることはなかった。縦割りの弊害と言うほかない。

小池氏は記者会見で、調査の継続を表明し、「意思決定のプロセスに不備があった。都の組織運営上の問題であり、だからこそ都政改革が必要だ」と強調した。

問題を見過ごしていた都議会も責任を免れない。知事に協力し、巨大組織が抱える問題点を洗い出して改善につなげるべきだ。

豊洲市場に移転した場合、食の安全は保たれるのか。この点が、都民の大きな関心事だろう。

市場の3地点の地下水から、環境基準をわずかに上回るベンゼン、ヒ素が初めて検出された。

人体に直ちに影響はないとみられるものの、都民の不安を考えれば、汚染源などを徹底的に調査してもらいたい。

小池氏は、市場の移転について、地下水調査の最終結果を待って判断する方針を示している。専門家の意見を踏まえて、安全性を冷静に見極める必要がある。

水産仲卸売場棟の構造計算書に不備があったことも新たに判明した。コンクリート床の一部で、計算書の数値と実際の厚さに食い違いが生じていた。都は、床の耐荷重や耐震性などに問題がないかどうか検証するという。

そもそも、盛り土をせずに地下空間を設けたことに、安全上の問題はないのか。様々な課題に誠実に対応しなければ、市場関係者や消費者の信頼は取り戻せない。

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