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[東京新聞] 養子あっせん ルールづくりも必要だ (2016年10月06日)

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特別養子縁組をあっせんする千葉県の民間団体が養親希望者に子どもの優先紹介費として事前に金を支払わせ、全国で初めて事業停止命令を受けた。営利目的とみまがうあっせんをどう防ぐのか。

千葉県によると、処分を受けたのは「赤ちゃんの未来を救う会」。昨年にネット掲示板で生みの親(実親)と育ての親(養親)希望者をつなぐ事業を始め、養親希望者に二百二十五万円の負担を要求。今年、養親希望者に百万円を先に払えば子どもの紹介順位があがると持ちかけ、さらに「来月に出産予定の子がいる」と残り百二十五万円を支払わせた。

夫婦は六月に生まれた男児を助産院で引き取ったが、実親が養子に出す同意を撤回していたにもかかわらず子どもが連れ出されたと県に相談、県は団体を処分した。

養子あっせんについて、児童福祉法は営利目的を禁じ、厚生労働省は金品支払いを優先条件とすることを認めていない。養親希望者から受け取れるのは、交通費や通信費など実費を超えない範囲だ。

「救う会」の手法はあまりにずさんだが、一方で、民間団体が国からの助成がない中、実親からの妊娠相談から養子縁組の成立までにかかる経費の捻出に苦労している現状には目を向けるべきだ。

望まない妊娠や虐待などで生みの親が育てられないことがある。養子縁組という制度は、子どもが特定の大人に愛情を注がれて育つための一つの選択肢だろう。

六歳未満を対象にした特別養子縁組の場合は家庭裁判所の審判を経て、戸籍上も実親との関係が消され、養親希望者と親子関係になる。乳幼児の場合に、乳児院よりも養親希望者への委託を優先してきた愛知県の取り組みは知られているが、近年この制度で実績を上げているのが二十二の民間団体。二〇一三年度は五百ほどある成立件数のうち約二百件を占めた。

不妊治療を経て関心を持つ人も増えている。だが、あっせんには、実親と養親希望者の事情を考慮し、子どもの将来を見通す専門性が求められる。事業者が自治体への届け出義務があるだけで手法に指針のないのが問題だ。中絶を考える女性に向けて「子どもを産んでくれたら二百万円の援助がある」と呼び掛けたNPO法人もある。事業者の資質は問われるべきではないか。

あっせんの透明性を保つためにも、許可制に変えようと与野党に規制強化の動きがある。適正なルールづくりを急ぎたい。

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