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[日経新聞] トヨタ・スズキ提携と車の未来 (2016年10月14日)

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トヨタ自動車とスズキが環境や安全、自動運転など次世代技術の開発を中心に提携する。

具体的な中身はこれから詰めるが、世界最大手で日米などの先進国市場に強いトヨタと、小さい車づくりや巨大な潜在需要が見込まれるインド市場に強いスズキの組み合わせは迫力がある。

両社の協業が日本の自動車産業の競争力向上に資することを期待したい。

自動車産業では提携や再編の動きが急だ。トヨタはマツダや富士重工業、独BMWなどとも提携している。日産自動車は三菱自動車への資本参加を決めた。世界に目を転じると、2014年には伊フィアットが米クライスラーを完全買収した。

一連の提携劇の根っこにあるのは自動車をめぐる技術潮流の変化だ。過去100年間にわたって自動車の唯一の動力源はエンジンであり、エンジンを改良することが車の環境・走行性能を高める決め手だった。

だが、近年は車の電動化が進み、モーターで車を動かすハイブリッド車や電気自動車が脚光を浴びている。さらにドライバーを人工知能(AI)で補助したり代替したりする自動運転技術の開発競争が、米グーグルなどの有力IT(情報技術)企業も巻き込みながら加速している。

必要な技術の範囲が急速に広がる中では、自動車各社は自社開発の技術だけでは対応しきれない。とりわけスズキのような中堅企業は自前主義の限界を意識しており、それが提携につながった。

今後各メーカーに求められるのは、自社や系列の殻に閉じこもるのではなく、大学の研究者やIT系のベンチャー企業など外部の人たちと連携する開かれた姿勢だ。ライバルとも時には協力し、仲間づくりを進めて、技術の標準化を進めることも重要だ。

その先頭に日本車メーカーが立って、安全でクリーンな車づくりで世界をけん引してほしい。それだけの潜在力はあるはずだ。

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