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[読売新聞] 東京五輪施設費 4者連携で費用圧縮を目指せ (2016年10月20日)

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膨張した施設費を可能な限り圧縮することは、東京五輪・パラリンピック開催に向けた重要なステップだ。国民の理解を得る決着を急ぎたい。

小池百合子東京都知事と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が会談した。コスト削減について、国と都、大会組織委員会、IOCの4者による協議をバッハ氏が提案し、小池氏も同意した。

都が月内に示す会場整備の見直し案を受け、来月にも4者の作業部会で検討に入る。

会場整備費の問題は、都と組織委の意見対立などで混迷している。会場を変更する場合、国際競技連盟やIOCの承認が必要となり、手続きに時間がかかる。

都が組織委などを通さずにIOCと直接協議する場が設けられる意味は大きい。効率的に調整してもらいたい。

バッハ氏は、開催都市として選ばれた後に「ルールを変えないこと」を求めつつ、小池氏が説明したコスト削減の方針にも一定の理解を示した。

巨額の五輪開催費は、開催地住民の理解を得にくくなっており、欧米の都市が招致を見送るケースも相次ぐ。IOCは、既存施設の活用を奨励し、開催都市以外での実施も認めている。

バッハ氏には、東京五輪の費用を巡る混乱を長引かせたくないとの思いがあるのだろう。

焦点はボート・カヌー会場の行方だ。東京湾岸に新設する「海の森水上競技場」から宮城県登米市の「長沼ボート場」に変更するという都の案が検討されている。

小池氏は「復興五輪」の象徴にしたい考えを表明した。被災地の期待が高まるのは理解できる。

宮城県は200億円で整備が可能だとした。これに対し、都の担当部局は「海の森」の整備費を、当初見込んでいた491億円から300億円程度に縮減できるという新たな試算を公表した。

今になってこれほど巨額の削減案が出てくることは驚きだ。五輪開催の総費用が3兆円とも試算されるだけに、改めて計画全体の精査が必要だろう。

競技団体は移動負担などを理由に宮城県での開催に反発している。バッハ氏も「すべての中心にアスリートを置く必要がある」と指摘した。選手に配慮しながら、費用を厳正に見極めて現実的に判断することが求められる。

4者の連携でコスト削減を目指し、新時代の五輪モデルを世界に示す好機としたい。

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