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[産経新聞] 【主張】軽減税率 「緩和」実感できる制度に (2015年10月26日)

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生活必需品の消費税率を低くする軽減税率をめぐり、与党税制協議会による制度設計が本格化している。

自民党は、税収減をなるべく抑えられるよう導入時の対象品目を絞り込みたい意向だ。これに対し、公明党は酒を除くすべての飲食料品を対象とするよう求めており、両党には大きな開きがある。

ここは、何のために軽減税率を導入するのかという趣旨を改めて確認する必要があろう。

増税に伴う国民の痛税感をできる限り緩和し、低所得者の負担を抑えるのが本来の狙いである。対象の品目を限定しすぎると、その効果は期待できない。

安倍晋三首相は自民党税制調査会に対し、平成29年4月に消費税率を10%に引き上げるのと同時に、軽減税率の導入を目指すように指示した。その際には、事務負担が増える中小事業者への配慮も求めている。

これを受けた与党協議で、軽減税率実施時に必要となるインボイス(税額票)導入について、現行の帳簿などを活用した簡易方式で当面は代替する方向となった。その上で数年後に欧州並みのインボイスへの移行を目指すという。現実的な判断といえよう。

問題は、税率を軽減する品目の線引きである。

例えば対象を絞って精米だけを税率8%に据え置いた場合、軽減額は年400億円にとどまる。この程度では買い物の際、負担緩和を実感しにくいだろう。

一方、公明党案では年1兆3千億円の減収となる。消費税収は社会保障の財源に充てることになっており、同党からは「消費税収以外から軽減税率の財源を確保することも検討すべきだ」との声も出ている。

税収確保と国民負担の緩和のバランスを取りながら、最適な仕組みづくりに取り組んでほしい。

欧州では、日本の消費税にあたる付加価値税率が20%前後と高いが、生活必需品を軽減税率の適用対象とすることで、国民の理解を得ている。

その欧州では、「知に課税しない」との理由から新聞や書籍、雑誌などにも軽減税率を適用している。日本でも新聞協会が民主主義に不可欠な新聞を軽減対象とするように求める決議を採択した。欧州の先例も参考にして議論を進めるべきである。

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