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[日経新聞] 伊方再稼働へ住民の不安拭え (2015年10月27日)

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四国電力・伊方原子力発電所3号機の再稼働に、地元愛媛県の中村時広知事と伊方町が同意した。新規制基準に基づく原発の再稼働で地元同意を得たのは、九州電力川内原発に次いで2例目だ。

伊方原発は7月、原子力規制委員会の安全審査に合格した。地元同意を得たことで、政府が掲げる再稼働の要件は整った。ただ事故が起きたときに住民が安全に避難できるかなど、なお課題も残る。国や四国電力はきちんと対応し、再稼働に万全を期すべきだ。

同原発は四国から西に延びる佐田岬半島のつけ根にある。南海トラフ地震の震源にも近い。四国電力は想定される地震の揺れや津波の高さを引き上げ、非常用電源も増やして安全対策を強めた。

規制委は安全審査でこれらを妥当とした。再稼働に向け、規制委は工事計画などの最終審査にも厳格にあたり、四国電力も安全点検をぬかりなく進めるべきだ。

住民らが懸念するのは、事故が起きたときの避難体制だ。原発30キロ圏には瀬戸内海を隔てた山口県上関町を含め8市町があり、それぞれが防災計画を定めた。

ただ半島の西側の住民は陸路で避難すると原発に近づくことになり、海路に頼らざるを得ない。計画ではフェリーなどを確保するとしたが、津波や地震と重なった場合でも確実に対処できるのか。

安倍晋三首相は「事故時には政府が責任をもつ」と約束した。原子力防災会議も自治体の防災計画を了承した。だが国がどう責任をとるのか、なおあいまいだ。

避難計画が机上の案にならないように、自治体ごとに防災訓練を重ね、実効性を高める必要がある。政府が11月に伊方で実施する総合防災訓練も、課題を洗い出す場として活用すべきだ。

今後、再稼働が見込まれる他の原発でも、都道府県をまたぐ住民避難をどうするかなど様々な課題を抱えている。防災計画の妥当性や実効性を専門家が客観的にチェックするなど、住民の不安を拭う仕組みが欠かせない。

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